期末テストも終わって、気持ちにもほんのちょっとの余裕ができる。
今日もお母さんが寝坊したみたいで朝はコンビニのパン。

…まだ、集めてるのかな。

袋に張りつけてあるシールを見付けて、頭には祐希くんの顔が浮かんだ。



「今日は岬ちゃんもパンなんだ」

「うん。仕事早いから作れないって言ってたからさ」



朝の教室で、コンビニの袋を下げたままそんな会話。
もちろんそれだけじゃ足りないから今日もマドレーヌをプラスしてある。



「ん?集めてんの?」

「や、私じゃなくて…。前に悠太くんが、祐希くんが集めてるって言ってたから」

「ああ…そういえばそうだっけ」

「まだ集めてるかわからないんだけど」



私のもあげるよ、って携帯に二枚並んだ1点のシール。
機会があったら渡しにいこうって思いながら、朝のホームルームのために自分の椅子に座った。

一時間目と二時間目が終わって、今は三時間目の授業中。
次は移動教室だなって、もし祐希くん見付けたら何て言って渡そうかなって考え事してたらすぐに授業が終わりのチャイムが鳴った。



「私科目担当で準備しなきゃいけないからさ、先行ってるね」



そう言って教室を出ていく岬ちゃんを見送って、私も間に合うようにゆっくり教室を出た。
廊下を歩いてると、前にその後ろ姿を見付けた。
悠太くんはついさっき松岡くんと一緒に出ていったみたいだから、多分あれは祐希くんの方。



「祐希くん」

「…?」



声をかけると振り向いてくれて、疑問の浮かんだ顔で私を見る。
ブレザーのポケットから携帯を出して、そのシールが見えるように祐希くんに見せる。
だけど反応は微妙。



「……もしかしてもう集めてな、い…?」



微妙な感じになって、なんかすごく恥ずかしくなった。
ごめんねなんでもない、それならいいの、って言葉を繋ぎながらちょっとだけ後悔。
そりゃそうだよね、だって悠太くんが言ってたのも随分前のことだからなぁ…。



「あの」

「…はい?」

「もらっていいですか」



一応、と付け足す様にして祐希くんがそう言ってくれた。
祐希くんも携帯を取り出して、私と同じように携帯にシールを並べて貼った。



「ごめんね気遣わせちゃって…」

「だから謝らなくても…」

「ありがとうもらってくれて」

「…いえ」



その時耳に入ったチャイムの音。
やばい、と思ったけどもう廊下には誰もいなくて、「あの、じゃあ…」なんてぎこちなくお別れして教室に急いだ。


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