文化祭が終わってから、普通の学生生活に戻って、なんだかちょっと淋しいと感じる。
あれだけバタバタ走り回っていたのに、今じゃ逆にやる事もない。



「はよ、むむむ」

「あ、おはよう。今日は塚原くん1人?」

「……いっつもアイツらと一緒に来てると思ってる?」

「え…違うの?」



下駄箱で会った塚原くん。
文化祭以来前よりもちょっとだけ仲良くなって、今でもこうやって挨拶とかしてくれる。

靴を履き替えて、塚原くんは私を待ってくれてるみたいでそこに立っていた。



「…あんま違わねぇかもな」

「ほんとに仲いいんだね」

「アレだ…腐れ縁ってやつ」



並んで教室に向かう。
塚原くんは隣のクラスだからそこでお別れして、自分の教室で岬ちゃんを見つけて挨拶。
塚原くんと来たって言うと、びっくりしてたけど可笑しそうに笑ってた。
私と塚原くんっていう組み合わせが意外だったみたい。

それからはまたいつも通り。
午前中に授業受けてお昼にご飯食べて午後にまた授業受けて、あっという間に放課後。
何となく、すぎていく時間に感じるのは平和と、ほんのちょっとの虚しさ。



「…賑やかですね」

「あそこで卒業アルバム見てるみたいだね。東先生もここの卒業生だから見付けたのかもしれないし」



借りていた本を返しに図書室に来ると、図書室はやけに賑やかだった。(司書のお兄さんとはさり気なく仲良しです)



「東先生ってそうなんですか?」

「気になるならむむむさんも今度見てみると良いよ……あ」

「…?」

「あっち、」



お兄さんの指差す方を見てみると、悠太くんたちがこっちを見てて手招きをしてる。
え、って思ってもう一回お兄さんを見ると、行っておいでって微笑んでくれる。
一瞬迷ったけど皆の所に行くと、真ん中には一冊の卒業アルバムが置いてあった。
橘君が私の腕を引っ張り、椅子に座っている祐希くんとの間に私を入れてくれた。



「見てこれ!東先生!」

「…あ……ほんとだ…」

「めっちゃ格好良いんだよ!」

「うん…眼鏡もかけてないんだ」



アルバムに写る東先生を眺めてると、皆が怪しい動きを見せ始める。
なんか触り合ってるって言うか…
と、様子を眺めてると橘君の手が不意に私の肩に触れる。



「……?」

「うわ千鶴最低」

「罪の無い人に押し付けるなんて…」

「……〜やっぱり罪の無い人に押し付けるなんて出来ないっ!!こうなったらまとめて息の根を止めてくれるわ!」



と、もう一度私に触れると今度は塚原くんたちに勢い良く飛び掛かっていく。
そして、



「……」

「………」



本棚の上に置かれていた花瓶が倒れ、中に入っていた水が下においてあった本にぶちまけられていた。
司書のお兄さんが駆け寄ってきて、怒りはしなかったけど全力の苦笑いを浮かべていた。
そして言い渡されたのは“理科室の掃除”で、私は免除されたけどみんなが理科室に向かっていった。



「むむむさん…良かったらここの掃除手伝ってくれる?」



私も一緒にいたのに皆には申し訳ない気持ちでいっぱいになったけど、お兄さんの困り顔を見て私は首を縦に振った。


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