文化祭前日。
どこもかしこも忙しそうに、楽しそうに準備に励んでいる。
私も今日は教室の飾り付け。
机を並べかえて綺麗な布で飾り付けしたり、さり気なく花瓶を置いてみたり、メニューを飾り付けてみたり。
コピーしたメニューも結局女の子たちが手書きしてくれて、すごく可愛くなっている。(コピーしたメニューはメモ用紙として大活躍中だからいいの!)



「もっとポスターコピーしとけばよかったなぁ」

「…行ってこようか?」

「あ、ありがとー助かる!」

「むむむさーん、ついでに両面テープ借りてきて欲しいー!」



あれもこれも、と気付けばメインはコピーよりもおつかい状態。
急がなきゃ、と小走り。
両面テープ3つと、絵の具の黄色と、花瓶ふたつと…あとなんだっけ、あ、そうだコピーも忘れないようにしなきゃだ。
気付けば両手いっぱいの荷物。(意外と花瓶が重いんだ)



「手伝いましょーか」



声のするほうには祐希くん。
コピー手伝ってもらったからと花瓶ふたつを持ってくれた。
何かを話すわけでもなく、ただ賑やかな廊下を会話もなく歩く。
目の前ではまた塚原くんが忙しそうに行ったり来たりを繰り返している。



「……塚原くんみたいだね、って」

「…要?」

「うん、この前、言ってくれたけど、私と塚原くんじゃ、全然違うよ」



目の前に塚原くんが来て、私と祐希くんを見比べて変な組合せだな、と一言。
塚原!と聞こえた声の方に走っていく塚原くんの大きな背中が目に入る。

うん、全然違う。



「塚原くんはほんとに頼りになるんだろうね」



気付いたら教室の前で、祐希くんから花瓶を受け取ってありがとうと伝えて教室に入る。

塚原くんを見ていると、気付きたくなくても気付いてしまう事が沢山ある。
優しいね、とか、別にそうやって言われたいわけじゃない。
嫌なことをやっているわけじゃないし、誰かがやらなきゃいけないことを私がやってるって、ただそれだけなんだ。



「むむむさんむむむさん」

「あ…はい?」

「なんか結局みんな衣装着ることになったみたいで、あと寸法合わせてないのむむむさんだけだって」



花瓶な荷物を机に置いたとき話し掛けてくれたのは悠太くんだった。(同じ浅羽くんなのに悠太くんのほうは凄く緊張する…)
教室を見渡すと確かにみんな衣装を身にまとっている。
最初は接客する子だけが衣装を着るってなってて、私は飲食物を準備する係だから制服で良かった。



「こっちこっち!」



うん、でも、楽しそう。
私を呼んでくれた岬ちゃんもピーターパンの格好をして楽しそうにしていた。


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