朝、起きたらなんだか怠い気持ちでいっぱいだった。
熱があるわけでもないし体調が悪いわけでもないけど、多分昨日久々に泣いちゃったからだと思う。
怠い身体を無理矢理起こして支度して学校に行くと、なんかあるとは思ってなかったけどいつも通りでなんか気が抜けた。



「おはよー」

「おはよう」



飛び交う挨拶に私も応えて、小さくため息。(なんかまだ、怠い)
鞄から筆記用具を出したりして準備してると、なんか気配がして顔を上げるとびっくりし過ぎて肩が跳ねた。



「お、おはよう、」

「おはよう………大丈夫?」

「え、ど、どうしたの、」

「お腹痛くて泣いてたって、春が心配してたから」



大丈夫?とまた聞いてくれる。
いや、あれはお腹痛くてじゃなくて…って焦ってると、そうだ、原因は浅羽くんなんだよ、って思い出した。
まだ恋してる気分でドキドキしてる自分が、バカみたいに思えた。



「あの、大丈夫、ありがとう」

「そっか」



精一杯笑ってみせたけど、うまく笑えてたかどうかは私にはわからない。
あ、なんかまた泣きそうだ。
優しさがしみるってこういうことなんだなぁって、初めて分かった気がする。

優しさが、嬉しいはずなのにどこかほんのちょっとだけ、痛かったんだ。



「大丈夫?」

「…おはよー」

「また泣きそうな顔してるけど」

「大丈夫………だと、思う」



あはは、って呑気な笑い声も全部全部他人事みたいに思えてきた。
そんな私の頭にぽんっと置かれるのは優しい手。
しみる、もう全部、しみてくる。



「高橋と浅羽別れたらしいけどね」



…しみてくる。
ぱっと見上げると、私は興味ないんだけどねーってつまらなそうな表情を浮かべてた。
目が合うと、ボーゼンとしてた私の顔が面白かったのか薄らと笑みが浮かぶ。



「頑張れよー」



ぽんぽん、と頭に置かれたその手が、胸いっぱいに染みた気がした。


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