ゴツゴツした岩の地面には小さな石ころや砂利が沢山落ちているらしく、ジャリジャリとした音と時々爪先に小さな石が当たる。
ただ、光のない真っ暗な洞窟を歩くのはそう簡単なことではなかった。
一応小さな懐中電灯のようなものは持ってきたが、それでも狭い範囲にしか届かない明かりでは恐怖は拭えない。
ピッタリ、とはいかないが寄り添うようにしてサンジの隣を歩く。


「大丈夫か?」

「ん、有り難う…」


時々こうやって私の様子を気にしながらどこまで続くかわからない道を歩いていく。
ただ、もう結構歩いているのに何にも出会わないし何も起こらない。


「不気味だなァ」

「…静かだね」


響くのは相変わらず私とサンジの足音だけ。
足元を照らす明かりが映し出すのは、本当に地面だけでソレ以外は何もない。
何もないのはいいことだけど、こういう場所でそういうのは逆に怖くもなってくる。
嵐の前の静けさとでもいうのだろうか。

サンジが手前を照らし、左右に明かりを揺らし始める。


「また分かれ道、か」


目の前にはまた小さな分かれ道。どっちに行きたい?とたずねられて、少し不安に駆られながら左側を指差した。
サンジは右に行くのだろうか。
そう思うと本当に怖い、だけど我が儘も言っていられないだろう。
じゃあ行くか、とサンジの掛け声に小さく頷いて足を進める。
彼の足はごく当たり前とでも言うように私が指した左側の道に向けて歩き出した。

遅れを取らないようにサンジの隣を歩く。
ジャリジャリ、やっぱり響き渡るのはそれだけ。
ゆっくりゆっくり、ただただそこにある道を歩き続ける。
すると上から冷たい何かが髪に落ちてきて、立ち止まって見上げれば頬にも当たるそれ。


「どした?」

「上から、なんか冷たいのが…」


ポタ、とまた落ちてくる。
手で拭い、明かりを当ててもらえばそれはただの水滴のようだった。
ポタポタと落ちてくるそれをサンジの手が拭い、またゆっくりと歩く。
真っ直ぐ真っ直ぐ続く道。
道は狭くなることも広くなることもなく、ただ前に伸びているだけだった。


「お、出口か」


うっすら見えてきた光。
そこに向けて歩けば、辿り着いた場所に目を見開く。


「おいおいなんだよ…」

「戻ってきたんだ…」


そこには確かに、メリー号があったのだ。
他には誰もいないみたいで、ハズレだったわけか…と呟いた彼の声が響いていた。


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