事態はどんどん悪い方へ向かっていく。ナミが突っ込んでいった人は無事なようだが、怒り心頭といったところだろう。私たちが言い渡されたのは、第5級犯罪による“雲流し”の刑に処するということ。いまいちピンとこないのは皆も一緒。



「何だそれ“雲流し”って気持ち良さそうだな」

「良くありません!!逃げ場のない大きさの島雲に船ごと乗せられて骨になるまで空をさ迷い続ける刑です!!死刑です!!!」



ゾッと、死の恐怖が私の背筋を凍らせる。何もないはずの空から降ってきた船や骨が、もしこの刑を受けた船だったとしたら。……そう考えると、すぐそこまで迫っている恐怖が現実味を増して私に襲い掛かってくる。私たちも、あんな風になってしまうのだろうか、と。
行き場の無い恐怖を胸に抱きながら、目の前ではルフィとサンジとゾロがさっきの人たちを相手に闘いを始める。仕掛けられた闘いを彼らは見事に制し、地面には力なく兵士たちが倒れこんでいた。



「ハ…ハハハ…バカ者共め……我々の言う事を大人しく聞いていればよかったものを…我々ホワイトベレー部隊はこの神の国の最も優しい法の番人だ……彼らはこう…甘くはないぞ……!」



嫌な予感がする。――否、嫌な予感しかしない。下品な笑い声が響き、誰もが口を開くことなく、彼が次に発する言葉を、息を呑みながら待つ。本当は聞きたくない、だけどそんな気持ちが汲み取られる事は、ない。



「これでもはや第2級犯罪者…泣こうがわめこうが……………ハハハハハハハ…“神の島”の神官達の手によってお前達は裁かれるのだ!!!!」



泣きたい気持ちがいっぱいで、だけど泣く事も出来ない程に胸いっぱいの恐怖心。第5級犯罪の雲流しよりも恐ろしい出来事が待ちわびているのだとしたら、そこにはもう死を遥かに超えた恐怖が在るという事で。もう想像もつかなかった。そこには“死”しかないのだろうかと。
私がこんなことを考えている事を、きっと誰も知る事はなくて。船から降りて雲の感触を踏みしめる。ナミはもう“帰る”と言い、ルフィは真っ向から反論。尚も言い合う2人を眺めているとルフィの身体が私の方を向き、その腕がガッシリと私の両肩を掴んだ。



「なァ!!むーも帰りたくないだろ!!?」

「だから…アンタは何でいつもそうやってむーを巻き込もうとするの!!!」

「せっかく空まできたんだぞ!!?帰るなんてそんな勿体ない事出来るかっ!!!」



ガクガクと揺すられるけど、私はいつもみたいにルフィの言葉には頷けなかった。私の困った顔を見たルフィは眉間の皺を深くし、口を尖らせて悲しそうな表情で私を見ていた。
…ルフィにこんな顔をさせてしまうなんて。僅かに痛む胸に気付かないように、私はそっとルフィから視線を逸らした。


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