海上レストランの一件があり、おれも麦わら海賊団の一員として行動することに決めた。小さい船に揺られてこれから向かうのは“アーロンパーク”という場所。一緒に乗っているヨサクって名前の野郎がそのことや七武海について話している。



「眠いのか?」

「…ん、?や……」



隣で眠そうにウトウトしだす女の子に声を掛けると、どうやら意識は朦朧としている様子。大丈夫、と言うまでもなく今にも目蓋は閉じていきそうだ。着ていたジャケットを掛けてやると、少し驚いたようだったが安心したように再び目蓋が閉じられていく。そのままおれの肩に、小さな頭が寄り掛かってきた。



「このお嬢さんも海賊か?」

「いや…俺ァよく知らねェんだが…」



疲れ切った様子でよりかかっているのは、少女とも見える幼い寝顔。
戦えない、逃げられない、ただ震えて隠れているだけの女の子。もし彼女も海賊なのだとすれば、なんでこんな子が…と、至極当然な疑問が頭に浮かぶ。
まぁ誰がどんな経緯で海賊になろうとおれには知った事ではないが。

小さく聞こえてきた声に少し視線を向けると、苦しそうに悲しそうに眉間に皺を寄せていた。どうしたもんか、とおれには分からない疑問はすぐに消える。女性というよりも女の子と表現した方が正しいその姿に、隠されたものが何なのかなんて正直どうでもいい。
タバコを吸おうと腕を動かすと、頭が肩から落ちそうになる。興味はねェが、相手が女となりゃあ心がそれを許さない。伊達に紳士やってねェぜ。
タバコをしまい、料理をつくる為に少女の頭をそっと退ける。起きないように細心の注意を払い、固くて申し訳ないが船に寄り掛からせた。



「起こすんじゃねェぞ」



ヨサクに告げキッチンに向かう。野菜や肉を切りながら浮かんだのはレストランで彼女に言われた“こんなに美味しい料理を食べたのは初めてです”なんて言葉。初めて言われたわけじゃねェが、あの時の彼女のキラキラした瞳を思い出す。
緩む口元にタバコを咥え、揃っていない調味料を目の前の料理に振り掛けた。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -