フラフラしながらも無事に岸に着いた。ゾロの腕から手を離して、今度はちゃんと固い地面を踏み締めた。



「歩けるか?」

「…あ、歩けるよ地面だから、!」



ケラケラ笑いながらゾロが私をからかうようにそう言った。何だかバカにされたみたいで納得いかない部分も多かったけど、その時ポロンポロンと透き通った音が聞こえてきた。辺りをキョロキョロすると足元にフワフワした“何か”が近付いてくる。スースーと可愛らしい声を上げながら寄ってきたのはどうやらキツネのようだ。しゃがみ込んで手を伸ばすと、鼻をピクピクさせながら少しずつ近付いてきてくれる。かわいい。



「おいあそこに誰かいるぞ!!!」

「また…!!ゲリラか!?」

「笛!!笛は!?」

「待て違う!!………天使だ!!!」



ポロンポロロンと聞こえてくる音色の主を見付けたらしい。そっちには大きな雲があって、その上に誰かが乗っている。そこにいた“誰か”は、サンジが言った通りまるで天使のような女の人だった。



「………。へそ!!」



ニコッと綺麗な笑みを浮かべた彼女が発した「へそ」に違和感。へそ、って、何なんだろうか。可愛らしい彼女が言えば愛嬌のある言葉にも思えるような気はするけど……へそ。



「青海からいらしたんですか?…スーこっちへおいで」

「………下から飛んできたんだ。お前ここに住んでんのか?」

「はい住人です」



スーと呼ばれたキツネは彼女に呼ばれて、結局私の手が触れる事無く歩いていく。大きな尻尾が揺れている。やっぱり、かわいい。
ルフィは持っていた、カボチャに似た実に穴をあけてもらっている。コナッシュといわれたソレは、多分ココナッツみたいなものなのだろう。“ヤバうま”ってくらい美味しいらしい。



「私はコニス。何かお困りでしたら力にならせてください」



彼女の名はコニスというらしい。しばらくしてから父親だっていうパガヤさんも、何かに乗って勢い良く島の木に突っ込んできた。何だか騒がしいけどみんな凄くいい人そうで、少しだけホッとする。



「むーも飲んでみろよ!」

「あ、うん」

「うめェぞ〜!!」



ルフィが飲んでいたコナッシュを私に渡してくれる。抱える程大きなそれは、思ったよりもずっと美味しい。やっぱり例え様のない味だから伝えられないのが残念だけど、本当に美味しいって事は自信を持って言える。
パガヤさんが乗ってきた乗り物はウェイバーといって、風やガソリンのような燃料がなくても走る不思議なものだった。必要なものはダイアルというものらしい。仕組みはよくわからなかったけど、何だか凄いものらしい。今もルフィがウェイバーに乗り、コントロールしきれずに大暴走している。
……あ、沈んだ。


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