モンブラン・ノーランドという一人の冒険家のお話。旅から帰ってきては、本当か嘘か分からない大冒険の話を村の人々に聞かせていた。ある日ノーランドは山のような黄金がある島を見付けたと王様に報告し、王様はそれを確かめるべく2000人の兵士を連れて海に出る。嵐を乗り越え怪獣たちと戦いながら島に着いた頃には、兵士はたったの100人しかいない。挙げ句、島には黄金なんてない。嘘つきの罪で、ノーランドは死刑になる。

「そうだ!山のような黄金は海にしずんだんだ!!!」
王様たちはあきれてしまいました
もう誰もノーランドをしんじたりはしません
ノーランドは死ぬときまでウソをつくことをやめなかったのです



「あわれウソつきは死んでしまいました…“勇敢なる海の戦士”に…なれも…せずに…」

「おれを見んなァ!!!切ない文章勝手にたすなァ!!」



読み終えたナミはパタンと絵本を閉じ、哀れな目でウソップを見ている。最後の文章はどうやらナミが勝手に付け足していたらしい。
サンジによればこの話に出てくるノーランドという人物は実在していたとも言われていたみたいで、だとしたら何だかほんの少し、切ない気持ちにもなってくる。嘘なのか本当なのか、それはもう誰にも分からないのだろうけれど。



「ぎゃあああ〜っ!!」


「え!?…ルフィが海に落ちた!!」



悲鳴と共に聞こえた水の音。ぱっとそちらを振り向けば、さっきまでそこにいたルフィがそこにはいなかった。イコール、海に落ちたのはルフィ。確かルフィは泳げなかったはず…そう考えると不安と心配が一気に押し寄せてきて、私とウソップはルフィが落ちたであろう場所に駆け寄ろうとした。
その時、今度はザバッと海から誰かがあがってくる音。ビックリしたウソップは何故か咄嗟に私の後ろに隠れた。普通は逆だと思うんだけどな。



「てめェら誰だ!!!人の家で勝手におくつろぎとはいい度胸。ここらの海はおれのナワバリだ」



現われたのはガタイの良いオジサンだった。すかさず私の前に出て来てくれるサンジ。ウソップに「ルフィを拾え」と言い、自分は出てきた相手と戦うために戦闘体勢。ウソップは私から離れ、言われたとおりにルフィを助けに海に飛び込んだ。



「狙いは“金”だな。――死ぬがいい」

「物騒な事を言う奴だ…むーちゃん、危ねェから下がっとけ」



一歩下がったその瞬間、オジサンはサンジに向けて攻撃を仕掛けた。彼なら大丈夫だろうっていう私の思考は、目の前の光景を見て一瞬で打ち崩される。
サンジがオジサンに押されているのだ。オジサンの攻撃を避けるのに精一杯らしく、額には薄ら冷や汗を流しているようにも見える。彼なら大丈夫だとそんな思考は消え、不安だけがいっぱいになってその戦闘を眺めるしかできなかった。オジサンは銃のようなものを出してサンジに向け、何のためらいもなく引き金を引く。



「下がってろ」



肩に置かれたのはゾロの手で、剣に手をかけて二人の方に向けて足を進めていく。ハラハラしている自分の顔は今、きっと真っ青だろう。不安で不安で仕方ない、そんな私の前でゾロとサンジの動きがピタッと止まる。二人の間でオジサンが苦しそうに倒れこんでいた。


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