何事もなかったかのように静まり返った船の上。



「………しかしあの怪物はデカかったな…………」

「……うん…もう会いたくないや」

「おれはな…………チョッパー」

「ん?」

「本気出せばあんなのでも勝てたんだぜ」

「ホント!!?」

「昔10匹倒した事がある」

「10匹も!!?」



ウソップとチョッパーと並ぶように私もそこにいた。二人の会話に耳を傾けていると、何だかおかしくて笑えてくる。ウソップもウソップだが、信じるチョッパーもチョッパーだ。
そして目の前では、さっきサンジさんとゾロとルフィが潜って見付けて持ってきた物が沢山。錆びた鎧や錆びた剣…もう全てボロボロに見える。役に立たないとナミは叫んでいるが、どれも私にとって見慣れない物ばかり。映画なんかでよく見た光景に、内心は少しワクワクしている自分がいた。



「大変そうね…」

「大変なのはこれからよ。ホントばかばっかり…これで完全に行き先を失ったわ!!」

「………はい」

「えっ…“永久指針”……!!これ…」

「―――さっきのおサルさん達の船から取っといたの一応」



ロビンとナミの会話が聞こえてきて、私の視線は下にいるルフィたちからそっちに移る。ロビンから渡されたのは“永久指針”と言われるもので、受け取ったナミは感激しているのか薄らと涙が浮かんでいる。私の味方はあなただけ、とナミが口にしたその言葉に、普段いかに彼女が苦労しているのかがよく分かる。同時に、私も迷惑かけてるのかなってちょっと申し訳なく思った。



「んむ、むーも食うかー?」

「あ、ありがとうルフィ」



いつの間にか私の前にいたルフィが、いつの間にか食べていたたこ焼きみたいな物を一つ、串に刺して差し出してくれた。



「“ジャヤ”……きっと彼らの本拠地ね」

「ジャヤ?お!そこいくのか」

「アンタが決めるんでしょ!!?」

「オ〜シ、ジャヤ舵いっぱ〜い!!!」



美味しいけど熱い。口の中火傷したかなぁって思いながら頑張って食べてると、隣からサンジさんが水を差し出してくれた。ありがとう、って言えなかったから何回か小さく頭を下げて水で流し込む。



「こっちはちと温めだ」

「ありがとう」

「今度は火傷しねェようにな」

「うん、気を付けるね」



ニッと口元だけ笑ったサンジさんが階段を降り、今度はロビンとナミのところにハートを撒き散らしながら向かっていった。
サンジさんが作ってくれたたこ焼きを食べる。今度はさっきよりも幾らか食べやすくなっている。ふわふわトロトロで、すっごく美味しい。そしていつの間にかこの船の向かう先が決定したらしい。



「よォし野郎共行くぞ!!!“肉の国”ジャヤへ!!!」



次に向かう場所は“ジャヤ”というところらしい。


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