沈んでいった三人を見送るために、船から海底を眺めた。だけど私の視力の問題もあってすぐに姿は見えなくなる。視線を海から上げると何だか変な音楽が聞こえるきがして、その方向に視線を移す。



「サ〜ルベ〜ジ〜サルベ〜ジ〜♪サ〜ルベ〜ジ〜サルベ〜ジ〜♪」



笛の音やシンバルの音が賑やかに聞こえてくる。何なのか分からずポカンと眺めていると、その大きな船はすぐにメリー号の傍まで来た。



「全体〜…止まれっ!!!」

「アイアイサー!!!」

「船が沈んだ場所はここかァ!!?」

「アイアイサー!!園長!!!」



ぽかん、だった。
何なんだろうか、いやきっと海賊なんだろうけれど、だけど海賊に見えないっていうか何て言うか…珍しく怖いと思わなかった。



「おいお前らそこで何してる。ここはおれのナワバリだ」

「ナワバリ?」

「そうとも…この海域に沈んだ船は全ておれのものだ。てめェら手ェ出しちゃいねェだろうな……!!んん!!?」



迫力がある…ようなないような。どうやら彼らはさっき沈んだ船を引き上げるらしい。あの船はもう自分の物だと言っている。だけど今あの船には、あの3人がいる。大丈夫かな…と心配でいると、ナミとウソップが何とか3人に息を送り続け、中に居ることがばれないよう会話を続けた。
…否、中に人がいる事はバレたらしい。ただそれが私たちの仲間だと気付かれていない事が今の救いなのかもしれない。



「さっさと“ゆりかご”を仕掛けて来いサルベージを開始する!!!」

「アイアイサ〜!!!」



向こうの船が引き上げの準備を始める。何故かボスは少しテレながら手を振っていて、私たちもそれに戸惑いながらも振り返した。
どうやら私たちが見学をする事に緊張をしているらしく、カミカミ、ガチガチになりながらも頑張ってくれようとしている。やっぱり海賊らしくない。全然怖くも何ともない。
すると突然下の三人の声が僅かに漏れ、今度こそバレそうになる。何とか蓋をし、ウソップが相手の船の船首のサルについての質問を投げ掛ける。するとボスは更にノってきたらしく、船の引き上げを急がせてしまった。



『ギャアアアア〜っ!!!』

「ボス!!海底の船員が!!」

「どうした!!?何があった子分共!!!」

『船の中に何者かが!!!ああァ〜…』

「おのれよくもおれの子分達を!!!何奴だァア!!!」



バレた。気付かれた。
そして向こうのボスは勢い良く海に飛び込んだ。ここまでくると流石に不安になる。3人は強いけれど、相手だって海賊で、弱い筈もない。敗けはしないけれど、怪我をして帰ってくる事がもう不安だなんて。


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