お風呂を上がり部屋に戻ると男性陣はもう既に部屋でのんびりした時間を過ごしていた。そこでさっきナミがしてくれた話を皆にすると、今夜出航する事に皆は賛成だと言う。
そうと決まればすぐに準備。たいしてなかった荷物をまとめ、すぐに迎えに来てくれたカルガモ部隊の背中に乗り込んだ。ふわふわした毛の乗り心地がすごく気持ち良い。一人じゃどうする事も出来ない私の後ろにはサンジさんがいてくれて、凄まじい早さで走るカルガモに振り落とされないように支えてくれている。



「大丈夫か?」

「…ん、大丈夫ありがとう」



男性とこんなに密着することなんて向こうではなくて、サンジさんは慣れているかもしれないけど私はやっぱり緊張する。彼がこうやって助けてくれる事は今まで何度もあったけれど、こんな風にドキドキを感じるのは何度目だろうか。…なんて、不謹慎な気持ちを振り払うように前を見据えた。



「ん待っっっっっっっってたわよアンタ達っ!!!おシサシブリねいっ!!!」



カルガモから降りると真っ先に聞こえてきたその声の方に目を向けると、船の頂上になにか不思議な人の姿が見えた。誰かいる、とサンジさんに伝えても返ってくるのは気にすんなって言葉。その言葉通り誰一人としてその人を気に掛ける人はいない。なら、いっか、って私も小さな荷物を背負った。
カルガモ部隊とサヨナラすると何だか少し寂しい気持ちになった。走り去る背中を見送ってから船に乗り込む。入り口に彼…彼女?は座っていて、目が合った。ああどうしようちょっと気まずい。



「あら初めて見る子だわねい」

「…こんにちは」



軽く会釈してみる。何だか見れば見るほど、スゴイとしか思えない。感動的なスゴイでも関心的なスゴイでもなく、なんかとにかく、よく言えば個性的なスゴイ。アヒルがついていたり化粧が施されていたり、初めて生で見る部類の強烈な“スゴさ”にそれ以上何も言えなかった。



「B・W社は滅んだの。あちし達はもう敵同士なんかじゃない…」

「敵同士じゃなくても何でお前おれ達の船に乗ってんだよ」

「はふーコノスットコドッコイ」

「何だと!!?」



船に乗り込んで荷物を下ろす。ゾロさんやサンジさんも続々と上がってきて、おろした荷物を片付けけていく。



「いィい!?あちしが今この船に乗ってなかったらこの船はドゥーなってたと思ってんの!?」

「海軍に奪われてたかもね」

「かもねじゃないわ!!確実にやられてた!!今この島がドゥーいい状態にあるか知ってる!!?海軍船による完全フーサよ!!!封鎖っ!!!」

「……じゃあお前……海軍からゴーイングメリー号を守ってくれたのか…?」

「なぜだ!!」

「何で!?」


「友達だからよう」



ルフィ、ウソップ、チョッパーが順にそう問い掛けると、親指を立てて涙を流しながらそうやって返ってきた。船に飛び乗ってきた2人と1匹が、その人と肩を組み踊りだした。何が何だか分からない私を見たゾロさんは「ほっとけ」と言いながら私にお酒の瓶を数本渡してきた。しまってこいという事だと受け取り、お酒が沢山置いてある所まで置きにいく。




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