「気持ちいい〜」



宴は一段落。そして今は宮殿の大きな浴場でお風呂に入っている。船のお風呂とはそれこそ比べ物にならなくて、更にこんな大きくて豪華なお風呂に入るのは生まれて初めてだった。
少し熱めのお湯に浸かりながらいろんな事を考える。どんどん凹んでいく自分がいて、せっかくこんな時なんだからってもう考えるのをやめた。



「こんな広いお風呂がついた船ってないかしら」

「あるわよきっと、海は広いもの。巨人もいた、恐竜もいた、雪国には桜も咲いた…………海にはまだまだ想像を越える事がたくさんあるんだわ!!」



そんな、ワクワクしたようなビビさんの声が浴場に響き渡る。確かにこの、海は広い。何があるかわからない。私はまだ怖いと思っているけど、ほんの少しだけ新しい場所に行くのが楽しみだと思い始めた部分もあったりする。戦いは怖いけど、みんなと一緒に居ることは凄く楽しい事だって、そう思う。



「むーもおいでよ、洗ってあげる」

「あ、うん、ありがとう、」


「ん?」

「ちょっとみんな何してるの!!?」

「…え、うわっ、」



ザバッと浴槽から出た瞬間、ビビさんが上から覗く皆の姿に気付いた。直ぐに浸かったけれど、もしかしたら…見られた、かも、しれない。別に見られたって何でもないような貧相な身体だけど…と、虚しい気持ちと一緒にお湯に浸かった。



「私達ね…今夜にでもここ出ようと思うの」

「え!?ほんと!!?」



ナミもビビさんも一緒に湯船に浸かる。二人ともいい身体してるなぁってそんな事考えてちょっと落ち込んでいると突然ナミがそう言った。まだ皆にも言ってないけれど、と付け加えた。
ゆっくり浸かっていると疲れだってスッキリと取れてくるような気がする。もう体調はすっかり元通りだ。


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