真っ暗な場所に私がいる。どこまで歩いても光は見えない。前にもこんな夢を見たような気がして、私はただただ前に歩く。後ろから何か分からないけれど闇より暗い、重い物が私を追い掛けてくる。手を伸ばしても誰もいない。やっと見えてきた光の先には懐かしい姿。お父さんにお母さん、学校の先生や友達もいる。
――はずなのに、みんなの顔は何故かぼやけている。ハッキリ思い出せないでいるのだ。
胸がドキドキした。近付いてもそれ以上に離れていき、顔どころか姿さえもボヤッとしている。そして、消えた。
ポツンと残された私の周りはまた真っ暗になる。もう走るのもやめた。ぐるっと見渡しても誰も居なくて、何もなくて、

まるで世界に私一人しかいないかのような、どうしようもない孤独感だけが私を包み込んだ。



「………むー、」

「お前、大丈夫かよ」



再び目を開くとナミがまた私を覗き込んでいた。自分の額に汗が滲んでいるのがわかる。
みんなが、そこにいる事にホッとしたんだ。



「大丈夫かぁむーちゃん?相変わらず調子悪そうだが、もうちと我慢してもらわなきゃいけねェようだ。……今から水に潜る。苦しいかもしれねェが、思いっきり息を吸い込んでくれ」



サンジさんの左腕が私の左脇の下に入り、抱え込むようにして私を支えてくれている。彼に言われたように何度か深呼吸、そしておもいっきり息を吸い込むと、彼の大きな左手が私の口と鼻を塞ぐ。そしてそのまま水の中に飛び込んだ。
苦しくてそのまま意識が飛びそうだった。水の流れは激しく、身体が揺れるたびに口から少しずつ空気が出ていく。だけどサンジさんがしっかり私を捕まえてくれていたおかげで、意識が飛ぶ寸前に彼の手が私の口から離れた。



「…ッ、げほっ……はぁ、はぁ、」

「よく耐えたなァ」



固い石の上に身体が乗る。苦しくてむせて、何度も何度も大きく息を吸い込んだ。落ち着いてくるとゆっくり体を起こし、その場に座り込む。深い呼吸を何度かしていると、サンジさんが笑ってくれたのがなんとなく分かった。



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