胸にひっかかる何かが余計に私を不安にさせる。何だろうと辿っていくと、辿り着いたのはさっきまで見ていたあの夢だった。何だったんだろうあの夢は。どうしてあんなにも孤独だったんだろう。どうして、向こう側にいた人がぼんやりして見えたんだろうか。
またどうしようもない不安に襲われた。何だろうとこの不安は。何だろう、1人じゃないのに、孤独なこの気持ちは。



「むー、大丈夫?」

「だいぶ顔色も良くなってきたな」



再びみんなが部屋に入ってくる。きっともうすぐ島に着くのだろうと、なんとなくそう思った。
ゾロが私に近付いてきて左腕を出すよう私に促す。言われるがまま起き上がって左腕を差し出すと、マジックで何かを書き出す。覗いてみるとそれはバッテンマーク。不思議に思い皆を見渡すと、みんなの顔には笑顔が浮かんでいる。その上には手際よく包帯が巻かれ、きついくらいギュッと結ばれる。



「俺らは今からアラバスタに突入する。だがお前はここに残れ」

「今は未だ物資調達だから危険はないはずなんだけど…ルフィたちが居るからそれも保障できない」

「それに今のあなたの状態じゃ、これから先の長く辛い旅にはきっと耐えられない…」



ゾロさん、ナミ、ビビさんが順にそう言う。なんだそっか、っていう気持ち。なんとなく分かっていたし、きっと私が行ったところで足手まといになるだけっていうのは簡単に想像できる。
小さく頷く私にサンジさんは「だが、」と言葉を続ける。



「気持ちはどこまでも一緒だ」

「むーの分まで俺が戦ってきてやる!」

「俺たちは仲間だ!」

「仲間だ!」



サンジさん、ウソップ、ルフィ、チョッパー。皆が次々に差し出した左腕には、私と同じ場所に同じように包帯が巻いてある。



「これから何が起こっても左腕のこれが仲間の印だ」



ニカッと笑顔を浮かべたルフィ。
仲間、とその言葉は今まで以上に私の胸に染み、孤独や不安は不思議な程に薄れていった。
行ってらっしゃい、と皆を見送る。一人になったけれど私は一人なんかじゃない。左腕に皆がいる。そんな安心感に包まれて布団をかぶり目蓋を閉じる。



「お休みのところ失礼」



突然聞こえた聞き慣れない声にバッと目を開く。―――見覚えがある。スッと通った鼻筋に真っ黒の髪、それにあの帽子はあの時一度現れたあの女性。



「体調が宜しく無いようだけれどごめんなさいね。あなたには私と一緒に来てもらうわ」



近付いてくる彼女に小さく抵抗をしてみるがそれも虚しく、彼女の両腕…それ以上の腕が私を動けないほど強く押さえ付けた。口と鼻を塞がれ、間もなく私の意識はそこで途絶えていた。


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