ルフィとビビさんとカルーは冒険をしに最初に船を出ていった。次にゾロさんとサンジさんが食料を調達しに出ていった。最後にナミとウソップが巨人に連れ去られていなくなった。だから今、この船には私しか残っていない。
どうしよう、ってそればっかりが頭を混乱させている。とりあえず落ち着かなきゃと、その為に散らかったままの本を本棚に並べていく。不安な気持ちはまだあるけれど、そのうち気持ちも落ち着いてくる。
そうだ、冒険に出かけた3人と、食料調達に出かけた2人を待とう。そんな結論に辿り着き大人しく船の中に居ることにする。探しに行きたいけれど、さっきみたいな虎やあんな巨人がいるようなこんな場所に私なんかが足を踏み入れるなんて危険すぎる。それに、みんなが帰ってきたときにウソップとナミの事を話せるのは私しかいない。
じっと椅子に座って待つ。みんな帰ってくる、だから、お茶でも用意して待っていようって。人数分のコップにお茶を入れ、早く帰ってきてとそればっかりを祈る。
しかし、待てども待てども誰一人として帰ってこない。
不安だった。こっちにきてこうやって一人になるのは初めてだったから。いつも誰かがいてくれてたんだと、今になって気付く。いつも皆が私を守ってくれていた。思えば昔からそうで、誰かに頼りっぱなしで自分じゃ何にもできなかった。否、してこなかった。だからこんな時にどうすれば、何をすればいいのかがわからないのだ。
外からドサッという音がした。ドキッとなる心臓。また、虎やら何やらが倒れたのかと思うとどうしよう怖すぎる。びくびくする私に足音がどんどん近付いてきた。ガチャ、とドアが開くと、そこに居た人に物凄く安心する自分がいた。



「あれ、むーちゃん1人か?……つーか、何て顔してンだ」



サンジさんが私の顔を見て小さく笑った。ああ一体私は今どんなに酷い顔をしているのだろうか。泣きそうになるのを堪えながらサンジさんに状況を説明した。途切れ途切れで、それでもちゃんとわかってくれたらしい。タバコを咥えたサンジさんは大丈夫だと私の頭を軽く撫でてくれる。



「これは皆が揃ってから、だな」



横に置いてあったお茶を見たサンジさんの手が、ぽん、と頭の上で止まった。



「お、っと大丈夫か?」

「…あ、ありがとう大丈夫、」

「……行けるか?」

「うん、行く…」



椅子からゆっくり立ち上がると何故かよろめく足。動悸が激しくなる。立ち眩みだ、疲れているんだきっと。
サンジさんが掴んでくれた腕から手が離れ、少し後ろを歩く。船から降りるときはしっかり手を差し出してくれて、やっぱり紳士だなぁってこんな時なのにそんな事を考える自分がいた。



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