島に近付いていくと、沢山の人がいるのが見える。



「海賊だぁ!!!」

「ようこそ我が町へ!!」

「“偉大なる航路”へようこそ!!」


「…何だ化け物どころか歓迎されてるぞおれ達」



呆気にとられたようにウソップがそうやって呟いた。海賊っていうのはやっぱり、島から歓迎される事はほとんど有り得ない事なのだろう。落ち着いてから始めて上陸する島、だからこそ、こんな雰囲気は凄く私を安心させた。
上陸するとさらにその歓迎モードは増していた。クラッカーなんかも出てきて、…何だか安心してもいいのかどうか、逆に分からなくなってくる。



「いら゙っ……!!ゴホン、マーマーマーマーマ〜♪いらっしゃい私の名はイガラッポイ。驚かれたことでしょうがここは酒造と音楽の盛んな町ウイスキーピーク。もてなしは我が町の誇りなのです。自慢の酒なら海のようにたくさんございます。あなたがたのここまでの冒険の話を肴に、宴の席をもうけさせては頂けま゙せゴホン、マーママ〜♪頂けませんか……!!」


話し始めたのはイガラッポイという、髪の毛を三段に巻いた人だった。こんなにも歓迎されて、いいのだろうかと疑問も生まれる。だけどルフィやサンジもみんな素直に受け取っているようで、このグレーな感情を消し去るように私も笑顔を浮かべた。
イガラッポイさんに肩を組まれ、宴の場に連れていかれる。そこはもう賑やかに、華やかに彩られていた。みんな料理を食べたりお酒を飲んだり、楽しそうに話をしたりしている。



「お嬢さんは飲まないのか?」

「お酒、飲めないので…」

「そうかなら、料理だけでも腹一杯食うといい」



歓迎されるのは悪いことじゃないし嫌な気もしない。だけどこういう賑やかな空気は、私は昔からあまり得意じゃなかったりする。参加が出来ない、というより、参加の仕方がわからない。だから友達も少ないのかなぁ、なんて。そんな、隅っこにぽつんと座る私に一人の男性が話し掛けてくれた。お酒が飲めないならとジュースを、それからお皿に山のように盛られた料理を私に差し出してくれた。



「まだまだ終わらねェ!」



誰かが叫んだそんな言葉。その言葉通り、賑やかに行われる宴は皆が疲れて寝てしまうまで、収まることなく行われた。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -