グラグラバタバタと騒がしかった船はようやく静まりを見せた。外で皆が走り回って頑張ってくれていたおかげだろう。
部屋の外ではみんながぐったり倒れこんでいる。お疲れ様ありがとう、ってそんな気持ちは胸いっぱいにあるのに声を掛ける勇気は、出なかった。なんだかまた、ポツンと淋しい気持ちになった。



「むーちゃんもう大丈夫か?」

「あ…うんありがとう」

「島が見えてきた、こっち来い」



ドアを開けて待ってくれているサンジさんに促され、私もやっと外に出る。さっきまでいた男の人と女の人が居なくなっている事にキョロキョロしていると、ナミが溜め息を吐き出して「気にしないであんな二人」と吐き捨てた。
目の前にはまるでサボテンのような、大きな大きな何かが沢山見える。これがその“島”らしい。



「じゃ入るけど、いい?逃げ回る用意と戦う準備を忘れないで」



島に入る前にナミが注意を促してくれる。だけど、逃げ回ることは出来ても戦うことは私には出来ない。また何かがあるかもしれない、なんてそんな不安に襲われる。みんながいる、だけど怖いものは怖いのだ。



「そんな辛気臭い顔すんな」

「そうだぜ?何かあっても、俺がちゃーんとむーちゃんをとナミさんを守り切って見せるさ」

「…戦わなくても逃げりゃいい」



…なんて、不思議な人たちなんだろうか。そんな言葉がこんなにも私を安心させてくれるだなんて。うん、そうだ、戦えなくても逃げることはできるんだ。それに皆がいる、皆が守ってくれる。それだけで安心してしまうくらい、みんなの存在は心強かった。


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