外に積もる雪に、私はルフィとウソップと共にはしゃいだ。こんな雪は向こうではあまり見たことがない。すぐに積もっていく雪は、私の胸を踊らせるには充分すぎる要素になっている。
小さな雪だるまを作る。コートと手袋は呆れたようなナミが貸してくれて、耳あてまで私に付けてくれた。ほどほどにね!って言うナミはなんだか、優しいお姉さんのように見えた。



「…お、」

「へへ、ちっせェなァ!」



ぼふっと後頭部に当たった柔らかい雪玉に振り返れば、ルフィがニカッとした笑顔を浮かべていた。しゃがんだ私が作った小さな雪だるまとは比べものにならない大きさの雪だるまが、ルフィの隣にドカッと立っていた。



「空から降って来た男 “雪だるさん”だァ!!!」

「雪だるさん?」

「すげぇだろ!」

「…うん可愛い、!」



ルフィの身長よりちょっと低い、私の身長よりもちょっと高い、まん丸2頭身の雪だるま。くりくりの目にウソップのような鼻、ピッと刺さった二本の木の棒は腕になり、可愛らしくマントも巻かれている。それに頭に乗ったでっかい樽だってすごく可愛く見えた。まるで漫画に出てくるような典型的な雪だるまに、童心に返ったようなわくわくした感情が生まれる。



「はっはっはっは…まったく低次元な雪遊びだなてめェらのは!!」

「何っ!?」

「見よおれ様の魂の雪の芸術っ!!“スノウクイーン”!!!」

「…わ、ウソップすごい!」



ウソップが作ったものは雪だるまなんかじゃなくて、もうそれは芸術品。ニュースで流れるような、まるで氷を削って出来たかのような綺麗な女性がそこに座っていた。写真やテレビで見たことはあっても、生でこんなに凄いのを見たのは初めてで、私の胸はずっとときめいている。
ルフィがウソップの作品を攻撃したのを境に、三人で緩い雪合戦が始まる。こんなに楽しいのはこっちに来てから初めてで、いっぱい笑ってた。すると突然、何の前触れもなく雷が落ちる。驚きで動けずにいると、雪かきをしていたサンジさんが私を船の中に押し込んだ。



「ちょっとばかし危険なようだ、まだちゃんと治ってねェんだからここで待ってろ」



バタバタと隣をナミが走って駆けていく。なにがあったのだろうか。私にはさっぱりわからないままナミは外にいる皆に色んな指示を与えている。部屋に入るとさっきの寒さが嘘のようになる。マフラーと手袋と耳あてをはずして、貸してもらっていたコートも脱ぐ。長袖でちょうどいい、まるで春のような心地よい気温。
バタバタと騒がしい外。何もしないでいいのかなぁと、考えながらナミが私の為にラップをしておいてくれた肉まんを口にする。ゆっくり食べてお腹いっぱいになって、騒がしい外の光景をじっと眺めた。
なんだか、ぽつん、と取り残されたような、ほんのちょっとだけ寂しい気持ちになった。


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