気が付いた時、何だか肌寒さを感じた。水で濡れたままだからかなぁとそんな事を考えながらそっと目蓋を開く。



「むーちゃーん…良かったぁぁあああ…!!」



何故か、今にも泣きだしそうなサンジさんが私の両手をぎゅうっと握っていた。周りをキョロキョロ見渡すと、ここはに見慣れた景色。ああここは船の上なんだ、そんな事を考えているとナミも私のところに来てくれた。サンジさんを跳ね飛ばすと今度はナミが私の手を掴んで、そっと髪を撫でてくれた。



「よかった……。ほとんど休む暇もないくらいバタバタしてたから、疲れもあったんだろうってクロッカスさんが言ってたわ」



掛けられていた毛布がずり落ちると、肌寒いっていうレベルじゃない寒気に襲われる。ナミの格好もマフラーにコート、耳あてに手袋。気付いてみれば私も厚めの長袖を着ていたが、まだ寒い。ナミはそんな私にオレンジ色のマフラーを巻いてくれる。



「お腹空いてるでしょ?サンジくんがあったかい食べ物作ってくれたから」

「特製スープと栄養たっぷりの肉まんだ。腹いっぱい食ってくれよ」

「私たちはもう食べたから。栄養つけてゆっくり休むのよ」



サンジさんが戻ってきて、湯気がほくほくの野菜スープと肉まんを差し出してくれた。美味しいなぁ、って何となく窓の外に目を向けると雪が降っている。真っ白な景色がそこには広がっていた。
こんな気温に、サンジさんが作ってくれたスープは凄く温かかった。



「お!むー目ェ覚めたか!」

「あ、うん…おはよう、」

「見てみろ外すげェんだぞ!」

「うん、雪、だ、」

「せっかく目ェ覚めたんだから遊ぼうぜ!!」



外から入ってきたルフィは、麦わら帽子に沢山の雪を積もらせている。上着もマフラーもない寒そうな姿。冷え切ったルフィの手が私の手を掴み、布団から引っ張りだされてそのまま外に連れていかれる。



「…ってアホかてめェは!!」

「そうよルフィ!まだちゃんと休んでないんだから…!!…って聞いてないし」

「どうしようもねェなあいつは」

「……でも、むーにはあれがいいのかもしれないわね。こっちに来てからあんな風にはしゃいでる姿見たことないもの。仕方ないわね全く」



二人がそんな話をしてる事を、私が知る事はない。


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