私たちに平和がやってきた。みんながそれぞれ、思い思いの事をしてのんびりした時間を過ごす。私はナミさんのが座ってる椅子の隣にもたれるように、ゆっくり動く綺麗な海を眺めていた。
「あああああーっ!!!」
ナミさんが読んでいる新聞から落ちたソレを見て、みんながそう叫ぶ。そうなるのも当然なのかもしれない。何しろ落ちてきたものは、ルフィの満面の笑顔がまぶしいくらいの写真が載った“手配書”というものだったからだ。
「これは命を狙われるってことなのよ!?この額ならきっと“本部”も動くし強い賞金稼ぎにも狙われるし…」
がくっと堕ちたナミさんが頭を抱えている。
もう終わったと思っていたのに。そんなわけ、なかった。そりゃあそうだ、だって海賊なんだもんみんな。ズボンを握る力が強くなるのが分かる。…ああ私また、怖くなってるのかな。
「…むー?」
「……ナミさん」
「心配いらないわ、こいつらがいるんだから!それよりそのナミさんっていうの止めない?なんか他人行儀でむず痒いんだけど」
「ナ、ミ…?」
ニカッと笑って「そっちの方がずっといいわ!」と声をかけてくれた。ついでにサンジさんとゾロさんも呼び捨てでいいって。もう仲間なんだから、って。今度呼んでみようって思ったけれど、それもいつになるかわからない。変なとこ気が小さいからなぁ。
「おい、なんか島が見えるぞ?」
ゾロさんのその言葉にみんながそちらに目を向けると、ナミ、がその島の説明をしてくれる。何でも知ってるんだなぁって思いながら聞く話は、正直私にはもうサッパリだったけど。
「あそこには有名な町があるの。“ローグタウン”別名“始まりと終わりの町”。かつての海賊王G・ロジャーが生まれ…そして処刑された町」
「海賊王が死んだ町……!!」
「行く?」
海賊王G・ロジャー。私には聞き覚えのない名前だけれど、この世界じゃ誰より、何よりも有名な人。
誰が頷くわけでもなかったけれど、船はそこに向けてゆっくりと進んでいく。
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