ルフィとアーロンの争いは、言葉には表せないような壮絶な戦いだった。お互いが傷付き、傷付け、血に塗れ、叫び、みるみるうちに壊れていく建物も何もかも、全てが2人の戦いの激しさを表していた。目を背けたくなる場面だって何度もあった。だけどみんな、目を離さなかった。否、離せなかったのかもしれない。
空から落ちてくる建物の破片、そして、机、紙、椅子、本…色んなものが空から降ってきていた。ナミさんの手が震えているのがわかる。ナミさんが、泣いている。



「あああああああ!!!!」



ルフィの怒号のような叫び声が響き渡る。そしてドゴンドゴンと凄まじい音と共に建物が揺れ、ヒビが入り始めた。破片が更に量を増して降ってくる。



「み…見ろ!!今の衝撃でアーロンパークが!!!」

「バカな!!崩れそうだ!!!」

「危険だ、みんな離れろォ!!!」

「ナミの姉貴!!お嬢さん!!急いで!!!!」

「でもまだルフィが中に!!」



その瞬間アーロンパークは、凄まじい音を立てながら、崩れ落ちていく。「ルフィ」と叫んだナミさんの声だけが響き渡っていた。
虚しく残る建物の崩壊音。誰も勝敗は知らない。息を呑んで待つしか出来なかった。ルフィを、信じることしか出来なかった。



「……ルフィ…!」

「大丈夫かよあいつ…」



建物の頂上にルフィが現われたのだ。太陽に照らされた、ルフィがそこに確かにいた事に胸がぎゅうっとなる。



「ナミ!!!お前はおれの仲間だ!!!!」

「…………うん!!!」


ナミが涙を拭う。つられて私もまた、鼻がツンとする。



「勝ったんだ」

「夢を見てるようだ…こんな日が来るなんて」

「アーロンパークが落ちたァ!!!!」



これで終わったんだと、みんな生きてるんだって思うと、目の前が滲んで何も見えなくなった。下を向くと零れ、落ちるのは間違いなく私の涙。
ナミさんは私の頭にさっきまで被っていたルフィの麦わら帽子をかぶせると、繋いでいた手をそっと外した。そして背中を押され進んだ先、隣のゾロさんが帽子の上にその手を乗せた。



「ノジコを打った分と……ベルメールさんのみかん畑をぐちゃぐちゃにしてくれた分…」



バキンという何とも痛々しい音が耳に入ってくる。だけど止まらない涙のせいで何が起きているのかはわからなかった。ただ、本当に安心してしまった。
我慢していた恐怖も、隠していた不安も、全部がぼろぼろと零れて止まらない。身体は未だに震えているし、もうなんて表現していいかわからなかったけど、込み上がってくる感情と一緒に涙が止まることをしてくれなかった。


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