水上都市、聞きなれない言葉だったけど見ればすぐにわかるその言葉の意味。うわぁ凄い、そんな風に思いながら私はその景色を眺める。私たちの船は見るからに海賊船だけど快く受け入れてくれる。入る場所は他の船とは少し違うけど修理はしてくれるらしい。ナミの指示で空島から持ってきた黄金を換金することになった。あとアイスバーグという人を探すらしいけど、私は買い物してきていいわよって言われたからフラフラすることにした。その前に着替えを済ませて、財布とちょっとのものが入るくらいの小さなカバンを肩から掛けた。



「…あれ皆は?」

「さっき出てった」

「そっか。じゃあ私もちょっと出かけてくる」

「ちゃんと帰ってこれんのか?」

「バカにしてるでしょ」



壁に寄りかかって胡座を書いているゾロが私を見上げて鼻で笑った。じゃあ行ってくるねって言うと「ロビンちゃんは!?」っていうサンジの大きな声が被ってくる。私とゾロ以外の皆がいないと知るとサンジも出かける準備を始める。とは言っても朝のTシャツからストライプのシャツと黒のベストっていう姿に着替えたサンジはすごく格好よくてもうバッチリだ。寝てしまっているゾロに船番を頼むとサンジは私に振り返る。



「とりあえず行くか」



私は頷いてサンジの隣を歩く。ここでは馬みたいな顔をした、ブルっていう船のような乗り物で移動をするのが普通らしい。サンジは食材を買いに行くからと二人用のブルを借り、私は一人用の小さなブルを借りた。操縦は紐を引っ張るだけと簡単で安心だ。川、と言っていいのだろうか、建物の間を流れる川をブルで移動していく。川にはブルで移動している人たちが沢山いる。船の上にお店を開いていたり、サイドには勿論普通のお店もある。その景色は当然だけど初めて見る景色で、見てるだけで凄く楽しくなってくる。



「嬢ちゃんどうだ、特製ジュース飲んでみねェか?可愛い嬢ちゃんだから安くしとくぜ?」



こうやって声を掛けてくれるお店もあって、せっかくだから買ってみてジュースを飲んだり聞いたことない動物の焼き鳥や新食感のデザートを食べたりする。
皆と一緒に食べようと思って美味しそうな食べ物も沢山買った。買いすぎたかなぁって思ったけど、皆ならきっと食べてくれると思うからもう少し買い足したり。気付けばかなり長い間街をフラフラしていたみたいで、ここに来たときよりも空は明かりを薄くしていた。そろそろ帰らなきゃと、ブルを返して荷物を抱えて船に戻った。



「おかえり!」



ナミがいつも通りに笑って迎えてくれる。街は楽しかった?という問い掛けに頷く。すると聞こえてきたのはチョッパーの声。



「おーい!!ウソップが目を覚ましたぞ!!」

「ホントか!!よかったーっ!!!」



その瞬間、安心したような空気が船を纏った。何があったのか私にはわからない、だけど何かがあったらしい。今まで眠っていたというウソップと、まだ帰ってきていないというロビン。皆で船の中に入ると、予想以上に傷だらけで包帯グルグルのウソップがいた。何があったのか、よくわからずにいる私にサンジが簡単に説明をしてくれた。換金した黄金は実に3億ベリーにもなり、それをフランキー一家っていう奴らに泥棒されたと。それを取り返すためにウソップがこんなにボロボロになったのだと。呑気に買い物していた自分がバカらしくなった。何してたんだろう私は、なんて、そんなことを思いながら胸がギュウッと締め付けられた。


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