目指すはウォーターセブン。水の都と呼ばれた場所を、私は結構楽しみにしていたりする。特に何かあるわけでもないけど、船に乗ってる皆がかなり楽しそうにしているから私も楽しみになってきたのだ。本当の目的は船大工を探すことなんだけど。



「じゃ、みんな来て!滞在期間一週間分のお小遣い渡すから」

「うおおお景気がいいなァ!!!」



ナミが皆にお小遣いを配る。一週間分っていうだけあっていつもよりかなり多目の金額に皆のテンションも上がる。私は普段からあんまり使わなくて貯まってる分があるからいらないと言えばいらないんだけど、ナミは「むーが楽しみにしてるなんて珍しいからね!」と皆に内緒でちょっとだけ多目にくれた。いいよって言ってもいいのよ!って返ってきて。せっかくだから皆にお土産でも買ってこようかなって、そう思うとまた楽しみになってくる。皆も行くんだけど、たまには、いいよね。



「どうした?ウソップ」

「――このブリキの継ぎ接ぎもよ…戦いと冒険の思い出じゃねェか…これからきれいに直っちまうのかと思うと感慨深くもあるわけだおれァ…」

「それもわかるが…特に“偉大なる航路”に入ってからのメリー号への負担は相当なもんだ。甲板のきしみも船底の水洩れもひどい。このまま放っときゃ船もおれ達も危険だぜ」

「ああ!!でも今はいっぱい金もあるしよ!!完璧に元気にしてやれるよ!!パワーアップもできるぞ!!」



船に響くウソップの声に私も船を見渡した。メリー号の修繕。私はここに来たときからこの船に乗ってて、っていうか目が覚めたらこの船にいた。あの時からもうずっと皆と一緒にやってきた。あれからどれくらいの日にちが経ったのか、カレンダーのないこの世界で過ごした時間はわからないけど、たくさんの経験をして来た。泣いて笑って、色んな経験をしてきた。ウソップの言う通り“感慨深い”とでも言うのだろうか。床や壁に残ってる大小様々な傷や汚れや修理痕、それがこの船が私たちと一緒に過ごしてきた証。やっと綺麗にしてあげられるんだな、って。



「島だ〜っ!!!」

「島が見えたぞ〜っ!!!」



皆のテンションが上がり、私も目の前に大きく現れた島に目を向けた。中央にそびえ立つ巨大な噴水、そこなら流れ出る水。綺麗な街だ、とそんなことを思いながら私は太陽に照らされたその噴水を見上げた。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -