青キジさんは海に近付いていくと、大きな体を屈めて右手を浸けた。何が起きるのか分からない私たちはただその姿を眺めてこれから起こることを待つだけ。――と、突然海から巨大な海獣が青キジさんにキバを向ける。それでも青キジさんは気に留めることもなく、周りにいる私たちの方が焦り始める。危ない逃げろとそんなウソップやルフィの声にも耳を傾けることはしない。



「“氷河時代”」



聞こえてきたのは彼の低い声で、その瞬間――ゆらゆら揺れていた青い海と、今にも襲いかかろうとしていた海獣が一瞬にして、凍ってしまっていた。



「自然系…“ヒエヒエの実”の氷結人間…!!――これが“海軍本部”「大将」の能力よ…!!!」



氷の冷気で肌寒さを感じ、思わず腕を擦ってしまう。驚きのせいで皆も言葉がでないらしく、ただ目の前の“海”を見て表情を固めていた。凍ったせいでキラキラしてみえるそれは、つい数秒前までは紛れもなく海だったのに。やっぱり信じられない。何度も瞬きを繰り返すけれど、やっぱり目の前の凍った海は本物だった。
おじいさんも嬉しそうにしている。私たちに手を振ると、まとめた荷物をもってゆっくりゆっくりと目的の場所に向かって歩いて行くのだった。その背中を見送って、寒い寒いと言いながら凍った海から離れ、草原に腰を下ろしている青キジさんのところまで足を進めた。



「何というか……じいさんそっくりだな…モンキー・D・ルフィ…」



青キジさんがそんなことを話し始めると、ルフィの足がピタッと止まる。それに釣られるように私たちの足も同じように止まる。じいさん、と言う言葉に引っ掛かったルフィは一瞬大きく肩を揺らし、彼には珍しい焦ったような仕草を見せた。



「お前のじいさんにゃあ…おれも昔…世話になってね。おれがここへ来たのは…ニコ・ロビンと…お前を一目見る為だ…」



お前、とそう言った彼の視線はルフィではなく何故か、私を捉えていた。冷たく鋭い視線は、私の背筋を凍らせるには十分で。



「――やっぱお前ら…今死んどくか」



先程までの“いい人”な彼はもうどこにもいない。私たちを捉えた睨み付けるような視線に、一瞬にして場の空気が張り詰めたのが分かった。


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