海軍本部“大将”青キジ。大将、とその肩書きを持つ人は海軍の中でも3人しかいないという。それは目の前にいる青キジと、あとは赤犬、黄猿という名の人らしい。その上にいるのは海軍トップのセンゴク元帥という人だけで、いわば海軍で2番目の権力者ということだろう。



「あらららこっちには可愛らしいお嬢ちゃんだ。今夜ヒマ?」



じっと見つめていると目が合って、彼は私に向かってそう声をかけてきた。何の意図があるのかもわからなくて、私はただ横に首を降る。サンジやウソップが「何やってんだノッポコラァ!!!」やら「話を聞けオラァ!!!」と怒りを露にしていると、私から視線を外して大きなため息を吐いた。



「ちょっと待ちなさいお前らまったく…そっちこそ話を聞いてたのか?おれァ散歩に来ただけだっつってんじゃないの。カッカするな。だあたいお前らアレだよホラ…―――忘れたもういいや」

「話の内容グダグダかお前っ!!!」



ウソップとサンジの息がピッタリと合っている。よく分からない彼のモットーは「ダラけきった正義」だと言い、その内立っているのが疲れたと地面に寝そべってしまった。怖い人なんじゃないのかな、っていう考えが裏切られるみたいに彼は全くやる気を見せない。それに「お前らを捕まえる気はない」とはっきりキッパリと言い切った。挙げ句の果てに、ルフィに帰れと言われたそれをアッサリと呑み込みすぐに帰るとも言った。なんだかもうよく分からない、この人。



「………あんた」

「ん?」

「――おれは睡眠が浅くてね…話は大方頭に入ってる。すぐに移住の準備をしなさい」



青キジさんはそう、おじさんに指示をする。ルフィが「海兵の言う事なんか聞かなくていい」と食って掛かったが、正しいのは彼の方。一般的には海賊の方が悪者だ。…――ルフィを見ていると、海賊である彼らが悪者だとは思えないんだけど。



「要するに…留守中に移住しちまった村を追いかけて3つ先の島へ行きたい。引き潮を待ち馬で移動したいが、その馬が足にケガを負っちまったってんだろ、違うか?」

「……それがわかってんなら今は移住なんてできねェのわかるだろ」

「大丈夫だ」



ぐったり、ダルそうに横になったままの彼がなんの根拠なのか分からない自信を見せた。本当に大丈夫なのかよ……なんて、皆そう思ってるんだろう。呆れたようは複雑な表情で彼を見ている。



「………確かに…その男なら…………それができるわ」



そう言ったのはロビンだった。一瞬、彼女が何を言っているのかよくわからなくて。でもロビンが出来ると言うならきっと本当に何とか出来るんだろうと、とりあえず皆でおじさんの移住の準備をする事にした。
家を解体したり、荷物をまとめて大きな荷台に乗せる。こんな肉体労働は久々で、身体中が汗びっしょりになる。次第に青キジさんとも打ち解けているような気がして、やっぱりなんかよく分からない。ロビンがあそこまで恐怖を見せた理由は、何一つ見付からなかった。


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