肩に旗を担いだルフィの後を着いていく。相変わらず広がる草原と、細長い木、それからルフィの向かう先にひとつの家と、ひとりのおじいさん、一匹の白馬がいた。



「ブッ飛ばしてきた!」

「…………ずいぶんケガしてる」

「こんなのいつもだ」

「…………………ありがとうよ………」



おじいさんが笑って、白馬が笑って、ルフィが笑う。何があったか分からないけど、ルフィが戦う理由っていうのはここにあったのかもしれない。きっと何かを“約束”したんだ。やっぱり内容は分からないけど、ルフィの優しい気持ちがまた人を救ったんだと、思う。



「そうかこれがお前らの仲間達か…せっく来たんだ、ウチへ入れもてなそう」

「もてなすもんねェだろ、もうチーズはいいぞ!!」

「あはは」



和やかな雰囲気に、私も口元が緩んでいく。



「また泣くんじゃねェのか?」

「…な……泣かないよ、!」

「どうだか」



私をからかうように、隣にいたゾロが笑いながらそう言った。確かに、いっぱい泣いたけど、でもそれにはちゃんと理由があって。そういえばゾロの隣でばっかり泣いてたと思い出すとやっぱり恥ずかしくて、それを隠すように下を向いたまま彼の腕を軽く押した。全くダメージなんてないみたいだけど。



「うお!!何だこれは…」

「人!?」

「ずっとここにいたの!?」



少し騒がしくなる、おじいさんの家の前。下を向いていた顔をあげて見れば、そこには玄関の高さを遥かに越えた身長の男の人が立っていた。…――アイマスクをしたまま寝たまま立っていた、というのが正しいようだ。おじいさんの2倍くらいあるんじゃないかっていう身長の彼を見上げたまま呆然とする。
色々と不思議な人だと思ってただひたすら見上げていると、どさっ…と何かが地面に落ちるような音がする。



「ロビン!?」

「どうしたロビンちゃん!!?」


「……あらららコリャいい女になったな…ニコ・ロビン」



振り向いたそこに、お尻から崩れ落ちるようにしていたのは…――ロビン。大きく息を乱し、恐怖に呑み込まれているような表情。こんなロビン、今まで見たことなくて、その場の空気が張り詰めているのが私にもわかるくらいだ。サンジやゾロは既に戦闘体制で、ついさっきまでの和やかな空気は微塵もなくなっていた。



「ロビン!!どうしたんだ!!!知ってんのか!?こいつの事!!!」



ルフィが声を張り上げる。そこにいる長身の男は焦る様子も見せずに落ち着いている。



「…………あららら。まーまーそう殺気立つなよ兄ちゃん達………別に指令を受けてきたんじゃねえんだ、天気がいいんでちょっと散歩がてら…………」

「指令だと!!?なんの組織だ!!!」



今度はゾロが声を張り上げる。剣を抜きはしないが、今にも襲い懸かっていきそうな剣幕で相手を睨み付けている。そして次に声を出したのはロビンで。



「海兵よ。海軍本部“大将”青キジ」



ロビンの言葉を聞くなり、「大将!!?」と皆の声がピッタリ揃った。驚きを隠せないようなその声に私だけがついていけないでいる。キョロキョロ見渡しても、みんなの視線は長身の男。海軍は知ってる。海賊の敵で、追いかけられたこともある。海賊本部、それの大将ってことは偉い人ってことで。
…だけど結局よく分からない。そんな私に大将、青キジと名乗った彼の海軍での地位を理解させてくれるのはその後に続いたロビンの言葉だった。


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