最終試合。花火が上がり、ルフィvsオヤビンのガチンコバトル“コンバット”が始まる。サンジが席取りをしていてくれたみたいで、すごくいい場所で試合を観戦できそうだ。コーラとポップコーンを持った彼が案内をしてくれた。



『さ〜て今回の対戦はこの二人!!!計らずも船長対決〜!!!まずは来る者拒まず!!!“コンバット”無敗伝説920勝!!全ての勝負に勝つ男!!!フォックスヘッドのレフトコーナーより入場……―――我らがオヤビン!!!“銀ギツネのフォクシー”!!!』



煙をまとい爆音の音楽を響かせながらド派手な登場を見せるオヤビン。わああああっと最高の盛り上がりを見せる会場。オヤビン!オヤビーン!と名前を呼ばれた彼はグローブを嵌めた両腕を掲げ、テンションを上げていく。そして次はルフィ。



『さァそして対するは“東の海”出身!!少数派海賊団のリーダー!!!懸賞金一億ベリーの男!!!ライトコーナーより入場!!通称“麦わら”!!!……―――モンキー・D!!ルフィ〜!!!』



オヤビンに負けない程の歓声が沸き上がる。わああああっと、まるでテレビで見たオリンピックとか世界大会とか、それを間近で見ているような気分になる。
ルフィもグローブを両腕に嵌めて、そして何故かアフロ頭の彼は上着を脱いでその胸にドクロを掲げている。隣にいるウソップも何故か派手な衣装を身に纏っているが、これもこの試合のルールなのだろうか。まさかとは思うけど。



『それではセコンド!!邪魔なので引っ込んでくれよっ!!』

「早ェな!!もう終わりかセコンドの役目は!!」

『セコンドアウト!!!』



ウソップがフィールドから出され、いよいよルフィとオヤビンの二人になる。さっさと始めろ!なんて試合を待ちきれないような野次もたくさん飛び交っている。
私たち観客の座っている席が徐々に上がっていき、戦場になる船を上から見渡せるようになった。
試合直前、会場の盛り上がりは最高潮になる。聞こえてくる歓声は耳を塞ぎたくなるほど大きい。



『さァさァさァ会場を熱気が包み込むよっ!!仲間を奪るか奪られるか!!!もう後がないっ!!!デービーバックファイト最終戦!!!“銀ギツネのフォクシー”!!!VS!!!“麦わらのルフィ”!!!両海賊団主力対決にその全ての命運がかかるっ!!!――そして今…!!!

  決戦のゴング〜ッ!!!』



カァーン…と会場に鳴り響いた鐘の音と共に、双方は向かい合ってお互いに突っ込んでいく。ドキドキする胸。どうなるんだろう…そう思いながら、ルフィが勝つ事を心ではわかってる。不安だけど大丈夫、そんな気持ち。



「あっ…!!!」



――…そんな気持ち、だった。少し離れた観客席、ぼやける私の視界でもそれはしっかりと分かる。一方的にやられているのはオヤビンじゃない、ルフィなのだ。ルフィはオヤビンのノロノロビームとやらにすっかり参っているらしい。攻撃は全て、ルフィに返っていく。



「……っ………」



こんなルフィを見るのは初めてだった。ボコボコにされる彼を見ていられなくて目を逸らしたくなった。ぐっと唇を噛み締めて、膝の上に乗ったポップコーンのカップをぎゅっと抱き締める。船の中に入っていった二人を見守りながら、心配ばかりがどんどん膨らんでいった。


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