どこまで歩いたのか分からないけれど、ルフィは「疲れた」と、木にもたれ掛かり休憩を始めた。かなり長い間歩いていたせいか私もほんのちょっと疲れていた。だから私もルフィの隣に同じように座った。
しばらくは静かな空気が流れていたけど次第に騒がしくなってくる。そして事態の流れに着いていく暇もなく、銃声が辺り一面に響いていた。頭はもう真っ白。気付くとルフィはゆっくりと歩きだしていた。


「あんたには関係ないっ!!!!さっさと島から出てって!!!」


真っ白な頭に響き渡る声は、聞き覚えのある声。走り去っていく女性は紛れもなく、ナミさんだった。
砂埃を払いながら口を尖らせたルフィが戻ってくる。何があったかは分からないけれど、事態が深刻な事くらい理解できる。ルフィは呆然としている私の隣に座って、なんだよアイツと呟いた。


「大丈夫かー?」


私の顔を覗き込んでくるルフィ。
また怖くなってた。ここにいる事が。日常のように出てくる凶器も、平気で人を傷付ける人がいることも、目の前でどんどん人が倒れていってしまうことも、血を、見ることも。何でこんなところに来ちゃったんだろうって、理由もわからないのに自分を恨んだ。
どのくらいそうしていたかは分からない。ルフィは頭の後ろで腕を組んでつまらなそうな表情でずっとキョロキョロしている。
ナミさんが戻ってきた。笑っていた。島の人みんなの声が聞こえて、その声が離れていって、「アーロン」と怨みの混じった声と見ていられないようなナミさんの行動に、目を逸らしてぎゅうっと唇を噛み締めた。
助けて、と聞こえた声に、もう何の気持ちなのかもわからないけど泣きそうになった。


「当たり前だ!!!!!」


助けてほしいのは、私も一緒だ。
いつの間にか隣にいたゾロさんは私の頭にぽんと軽く手を乗せてゆっくりと立ち上がった。いつの間にかウソップとサンジさんもそこにいる。


「お前も行くか?」


ゾロさんに言われた言葉に首は横にしか動かなかった。ここで待ってろってそう言ってくれたけど、離れていく皆を見ながら気持ちがいっぱいになった。もう、帰りたい、早く、自分の住み慣れた世界に戻りたい。
三角座りの膝にぎゅうっと押しつけた目蓋から、どれだけぶりなんだろうっていう涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。


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