デービーバックファイトと呼ばれるゲームはお祭りなのだろうか。辺りは瞬く間に屋台で埋め尽くされ、どこから出てきたのか人も沢山いる。これが相手の船員なのだとしたらそれは凄まじい量の人。――――この中のどれだけの人をこのゲームで奪ってきたのだろう。
中心に設けられた舞台の上に、ルフィとフォクシー海賊団の船長が並んで座り、開会式が始まった。



『さーて野郎共っ!!騒いじゃいやん!!!“敗戦における3か条”を今から宣誓するわよ!!』



司会らしき女の人がマイクに向けて喋り始めると、賑やかだった空気が更に盛り上がり始める。



『一つ!!“デービーバックファイトによって奪われた仲間・印全てのものはデービーバックファイトによる奪回の他認められない”』

『一つ!!“勝者に選ばれ引き渡された者は速やかに敵船の船長に忠誠を誓うものとする”』

『一つ!!“奪われた印は二度とかかげる事を許されない”!!!』



響き渡る声に頭を抱えるナミ。他の皆は意外と平然としていて寧ろどこか楽しそうにも見えて、サンジに至ってはわたあめ買ってきたよと私とナミに差し出してくれる始末。めいっぱい楽しんでる。



『いじょ、これを守れなかった者を海賊の恥としデービー・ジョーンズのロッカーに捧げる!!!守ると誓いますか!?』


「誓う」

「誓う!!!」



不気味な笑顔を浮かべた相手の船長と、ヤキソバを口一杯に頬張ったルフィが答えた。最高潮ってくらいに盛り上がる会場。耳を塞がないとうるさいとさえ感じてしまう歓声に、いよいよなんだ、始まっちゃうんだ、って他人事のようにそう思った。
サンジが買ってくれたわたあめを食べる。小学生くらいの時に食べた以来だったそれは思った以上に甘い。ちょっと甘すぎる。キラキラした目でわたあめを見つめるチョッパーにそれを差し出せば、甘い!って言いながらも美味しそうにそれを頬張る姿に少しだけ癒された。



「おい!!オーソドックスルールはわかるな!?おめェら。出場者は3ゲームで7人以下!!一人につき出場は一回まで、一度決めた出場者に変更はなしだ!!」



ゾロがどこかから貰ってきた紙をじっと眺める。種目はレース・球技・戦闘の3つで、それぞれの出場者をその紙に記して提出するらしい。



「7人以下…」

「だったら待機はむーだな」

「まァそうなるな」

「それにチョッパーも待機させておいたほうがいいかもしれないわね。7人以下っていうことは必ず7人が出ないといけないわけじゃない」

「相手より人数が少なくても、ンなのは俺らにゃ関係ねェ」

「ええ分かってるわ。だけど相手は自信満々だし、大きな怪我をしないとも限らない」

「わかった!おれ、いつでも治療出来るように準備しておく!」



チョッパーが元気に手を挙げて返事をした。ぼんやりとそれを見ていると、ポンと私の頭に手を置いたサンジが心配すんなと笑った。
いいのかなって、ホッとした気持ちと裏腹にそんな気持ちになる。…結局出たところで何の役にも立たないだろうけど、だけど、



「もうっ、だからそんな顔しないの!!私だって嫌だけど…でもむーが巻き込まれるのはもっと嫌!!やるからには負けないわ、心配しないで必ず勝って見せる」



力強い視線で私を見た。ナミには敵わない。小さく頷くとナミはにっこり笑って「さぁ行くわ」と私の肩に手を置いた。



「心配いらねェよ」



一回戦に向けて指定された場所に向かっていく背中を眺めていると、いつの間にか隣にいたゾロがそう私に投げ掛けてくれた。


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