ぼーっと体育座りをする私の視線の先にはサンジさんとゾロさんとルフィがいる。ジョニーが放った言葉…「ナミさんがウソップを殺した」というそれも今はなんとか一段落。
…一段落というよりは、一時休戦といった感じだろうか。ルフィが寝ると宣言してから本当に地面で寝てしまい、事態はその時のまま。私は「勝手にしろ、死んじまえ」と、そう言ったナミさんの去っていく背中を見送るしか出来なかったのだ。

3人から少し離れた場所に座る私から出るものは、ため息だけ。何やら喧嘩を始めたサンジさんとゾロさんを一瞬だけ見て、何だかやるせなくなってすぐに目を背ける。移動した視線のその先には、元気そうに走ってくるウソップが見えた。


「死んだぜこりゃ…」


元気そうだったのはほんの一瞬だけだったけれど。2人の喧嘩に巻き込まれたウソップはその瞬間に、普通の人間なら即死のダメージを受けていた。よく死ななかったな…って本当に思う。
すぐに復活したウソップは、ナミさんについて話し始めた。


「おれはあいつに命を救われた!!どうやらあいつが魚人海賊団にいることにはワケがあるとおれは見てる!!!」

「無駄だよ」


ウソップの言葉に続くように間髪入れずに入った言葉は、これからの彼らの行動を予測したような、そしてそれをきっぱりと否定する言葉だった。その言葉を放った人物は、ノジコというナミさんのお姉さんだった。


「お願いだからこれ以上この村に関わらないで。いきさつは全て話すから大人しくこの島を出な」


仁王立ちで私たちを睨んでいるわけでもないのに、ノジコさんは迫力充分だった。
全部話してくれると、そう言った。ナミさんに何があったのか、この村に何があったのか。知りたいような知りたくないような変な気持ちになる。だけど知ったところで、どう、するんだろうか。


「おれはいい。あいつの過去になんか興味ねェ!!」


スクッと立ち上がったルフィはそう言うとズカズカと歩いていく。何故か「行くぞ!」と私の手を引きながら。


「ちょ、お前どこに、」

「散歩。」

「散歩ってお前っ!!話聞かねェのか!?」

「うんいい」

「つーかお前、何でむーちゃんまで連れていくんだよ!」


何も言わないルフィは、ただただ私の腕を引っ張ったまま歩き続ける。小さく名前を呼んでも振り向かない、ただ前だけを見据えていた。
どこまで歩いたかわからない。しばらく歩いているとルフィはぱっと手を離し、私の方を振り返り「腹減った。なんか食うか」とにっこり笑ってみせた。これがどういう意味なのか私にはわからない。ルフィの事だから、本当に何も考えていないのかもしれないけど。
だけどこれで良かったのかもしれない。ナミさんやこの村の事を知ったとしても私には何も出来ない。私には何の力もないのだから。


「ルフィ」


小さく呟いた言葉に、ルフィは振り返ってまたにっこり笑い、私の頭をそっと撫でてくれる。自分が泣きそうな程に不安な表情を浮かべている事に、この時の私はちゃんと気付いていた。


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