「こりゃ楽でいい」



がたがたと揺れる船は波に乗っているわけでも誰かが漕いでいるわけでもなく、さき程の怪獣が引っ張ってくれている。
しかしサンジさんにやられた攻撃がかなり効いているらしく、その恐怖に必死で前に進むはいいがとにかく、揺れる。



「見えたぞアーロン・パーク!!!」



ガタガタという揺れは、ただ座っているだけだとあちらこちらに飛ばされてしまうような大きさ。
何かに掴まらなきゃ、と空中に伸びた手は虚しくも何も掴む事が出来なかった。
一瞬、浮いた身体。
やばい、と思ったその一瞬、私の身体は何かにピッタリと落ち着いた。
目の前には黒いジャケットにストライプのシャツとネクタイ。
私はサンジさんに抱き抱えられるようにして、彼に守られていた。



「てめェら一体何やってんだ!!!」

「何ってナミを連れ戻しにきたんだよ」

「ったく危ねェってんだよあのカバ…大丈夫か?むーちゃん」



ぎゅうっと抱き締められたままサンジさんがそう呟く。
……いや、ありがたいんですけど、あの、そろそろ離してくれても良くないですかね。



「てめェはいい加減そいつを離せゴルァ!!!!」



気付いてくれたのかゾロさんがサンジさんを叱咤、名残惜し気に離されていく手を確認して小さくありがとうとお礼を言った。
ウソップに借りたズボンやサンダル、朝から着ているTシャツに付いた砂や埃を払う。



「…ウソップの兄貴はもう殺されました!!!…………ナミの姉貴に!!!」



ゆっくり立ち上がったと同時に入ってきたその言葉の意味を理解するのにはさほど時間はかからなかった。
同時に見た先では、彼にルフィが飛び掛かり怒りに震えているのが見えた。
現れたナミさんの冷め切った表情と冷たい視線にまた、私の声は出なくなっていた。


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