※驚異のシズデレ





「えっ、シズちゃんて本当に童貞なの?」


シズちゃんとそういう関係になってから初めての夜。
唇を重ねながら彼を静かにベッドに押し倒すと僅かに抵抗され、何を今更と不平を唱えるとシズちゃんが困ったような顔で頬を染めながら呟いた。
初めてだから上手く出来ないかもしれない、と。
そうして驚きのあまり思わず漏れた言葉に、シズちゃんは恥ずかしそうに目元を赤く染めたままギッと俺を睨みつけた。


「んだよ、わりいかよ!」
「いや、全然。ていうか童貞だろうが何だろうが関係ないよ。シズちゃんが使うのは、こっちだからね」


そう言って、お尻に手を這わすとシズちゃんは、ひっと小さく息を呑んだ。
その反応が可愛くて、ガラにもなく興奮しきった俺は彼のシャツをさっさと取り払うと、スラックスのチャックを下げ、脱がそうとして…思わず手が止まった。


「…え?」
「え?………あっ!」


いきなり動きを止めてぽかんと口を開いた俺を不思議そうに眺めたあと、シズちゃんは何かにハッと気付き、すぐさま足を閉じようとした。
しかしそれよりも早く我に返った俺は、シズちゃんの両足の膝に手をかけその行動を阻止する。
俺が衝撃を受けた理由はシズちゃんが履いていた下着にあった。
シズちゃんのことだから、きっと色気も何もない3枚980円とかで叩き売りされてる安っぽいトランクスでも履いているんだろうと踏んでいたのに、これはなんという裏切りだ。
彼が履いていたのは、前と後ろを布で隠しサイドを紐で縛るタイプの下着、いわゆる紐パンだった。
しかも黒というセクシーな色合いの。
シズちゃんこういうのが趣味なの?
とまじまじと下着を見つめる俺の視線に堪え切れなくなったのか、シズちゃんは更に顔を真っ赤にさせながらブンブンと首を振った。


「ち、ちがっ…!これは、かすかがっ…!」
「何で幽くんが関係あるのさ」
「幽がファンに貰ったとかでっ…、でもこんなの履けないから俺に、って…それで…!」
「…まあシズちゃんがこれを持ってる経緯は分かったけど、何で今日これを履いてるの」


もしかして勝負パンツなの?俺と初エッチだから気合い入れてきてくれたの?
そう尋ねると、シズちゃんはとうとう真っ赤になった顔を両手で隠してしまった。


「そうじゃ、なくてっ…最近雨ばっかで洗濯出来なかったから、パンツこれしかっ…無くて…それに俺、今日お前とこんなことになるなんて、全然っ……!」
「うん、分かった。もういいよ、シズちゃん。とにかく」


俺いますっごくエッチな気分になってるから、初めてだけどあんまり優しくしてあげられないかも。
自然と荒くなる呼吸をそのままに、興奮しきった口ぶりでそう告げるとシズちゃんは小さく息を呑んだ。


「にしても、これ本当すごいね。こんなのパンツっていうかただの布じゃん。こんなの履いて外歩いて、どんな気分だったの?」
「あっ、や、だっ…いざやっ…!」


布越しに性器をぐにぐにと揉みながら意地悪く尋ねると、シズちゃんはいやいやと頭を振りながら喘ぎ声を洩らす。
ただでさえシズちゃんにとっては初めての恥ずかしい行為をしているというのに、更に追いうちで自分の恥ずかしい格好を見られてしまい、きっと彼の頭はもう爆発寸前だろう。
初めてだというのに思いのほか感じやすい彼の体はとても敏感だった。
少し触っただけだというのに勃ちあがった性器が下着の布を押し上げる。
そのいやらしい様子を見た俺の唇の端が自然と吊りあがった。
前を隠すパンツの布を横にずらすと、シズちゃんの性器がこぼれ出し、きゅうと閉じ切った尻の穴も露わになった。


「シーズちゃん。恥ずかしい格好見られて感じてるのかなあ?初めてなのに、すごいヨがってるじゃん」
「ち、がっ…ああっ、やん、はっ…ん、あっ」
「はは、すっごい。こっちもすんなり指入っちゃったよ。きもちい?」
「ああっん、だめ、だめっだ…!や、あぁっ!」


つぷん、と後ろの穴に指を埋めるとシズちゃんはあられもない声を挙げて身を捩った。
初めてだというのに何だろうこの感じようは。
いざ行為に至る前にそれを上回る恥ずかしい出来事があったから、色々とメーターを振り切ってしまったのかもしれないけれど。
まあ痛い痛いと言われるよりかは遥かにマシだ。
それに普段ストイックなシズちゃんのこんな痴態は、正直下半身にクるものがある。


「ん、あっ、あっ、もっ…やだっ…!」
「…シズちゃん」
「やあっ、いざやっ…、あん、もっ、いいからっ…!」
「!」


まさかシズちゃんのほうからお許しが出るなんて!
喜び勇んで下着を脱ぐと、俺はシズちゃんに覆いかぶさった。
そしてシズちゃんの最早意味を成していないような下着を脱がそうと手をかけて…一瞬考えて止めた。
下着を脱がさず布を横にズラしたまま挿入しようとする俺に、シズちゃんが慌てたように腕を伸ばした。


「ちょ、臨也おまえっ…あ、やああっ!」
「…いや、何かパンツ履いたままのほうがエロいかなって…」
「な、に言ってっ…ん、あっ、あっ」
「でも思った通り…本当シズちゃんすっごい」


結合部からぐちゃぐちゃと音を立てながら腰を振ると、もう何も考えられなくなったのか、先程まで文句を漏らしていたシズちゃんも最早喘ぎ声しかあげなくなった。
初めて入ったシズちゃんの中は俺を逃すまいとでもするかのように、きゅうと締まり、最高に気持ちが良い。
俺は無我夢中で腰を前後させる。時折、身につけたままのシズちゃんの下着の布が俺のペニスを擦った。


「ああっ、やっ、いざ、やっ…!あん、はっ、んぁ」
「シズちゃんっ、すっごい気持ちいっ…、ん、シズちゃんは?」
「あっ、俺、もっ…、や、駄目、いざやっ…頭、まっしろんなるっ…!」
「ふふ、もっと何も考えらんないようにしてあげるっ…!」
「へっ…あっ!や、やだっ、もうっ…、あ、あ、あああっ!」


腰の動きを先程よりも早め、シズちゃんの最奥をごりごりと突き上げると目をぎゅうと瞑って甲高い声を上げながらシズちゃんが白濁を吐きだした。
達する寸前に一際きゅうっと締まったシズちゃんの穴に絡め取られ、俺も小さく声を漏らすとシズちゃんの中に精液を流し込む。
はあはあと肩で息をしながら2人でくたりとベッドに倒れ込むと、まだ情事の後が色濃く残っている表情でシズちゃんが俺を睨んだ。


「どうすんだよこれ…もう履いて帰れねえじゃねえか」


精液でドロドロになったパンツを、くいと引っ張って恨めしそうに俺を睨むシズちゃんに爽やかな笑顔を向け、
どうせそんなパンツ履いてようが履いてなかろうが大して変わんないんだからノーパンで帰ったらいいんじゃない?
と提案してみると、盛大に殴られてしまった。










BGM:KOTOKO to 詩月カオリ



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