にっこりと微笑んでいる臨也に恐怖を覚えた。


「な、んだよ…」

「だから、これ着てって言ってんのー」

「これって、看護婦さん…の」

「あははっシズちゃん、最近は看護婦さんだなんて言わないんだよ?看護師ね。あと、ナース服って言ってくれた方が…俺的に色々いい」

「………」


もうコイツは頭がおかしいんだ。男なのに看護婦さんの…じゃない、ナース服を着せようとするなんてお前の目は節穴か馬鹿野郎。


「ほらシズちゃんっ着てよー!この前、限定プリン買って来てあげたでしょ?お礼してもらってないし、お礼はこれ着るだけでいいから…!」

「…っ」


ナース服を俺の目の前に突き出して懇願してくる。着るだけって、だけってなんだ。かなり勇気いるぞ。でも限定プリンを買って来てくれたのは確かにありがたい。借りがあるわけだ。


「き、着るだけ、だな?」

「うんっ」

「着るだけ、だからな!着たらすぐ脱ぐからな!」

「ありがとうシズちゃんんんんっ!ラブ!シズちゃんラブ!」

「うっせえ!」


バッと乱暴に臨也からナース服を奪って他の部屋に移動しようとした所に声がかかった。


「ここで着替えてよ」

「死ねノミ蟲」


俺はそう言って他の部屋に移動した。シズちゃん酷いだの聞こえるが無視して着替える。ナース服をよく見てみると何だか小さい。なんか…めちゃくちゃ恥ずかしい。着替えながら顔を赤らめている自分に気付いてさらに恥ずかしくなった。


「あ」


一通り着替えたが、まだ残っていた。看護婦さんの帽子…。いや、これ帽子って言うのか?まあ看護婦さんの帽子で通じるっちゃあ通じると思う。つーかこの帽子の付け方わかんねえ。あ、ピンがある。だああっ面倒くせえな臨也の野郎!でも付けないと文句を言われそうなので、無理矢理それらしく付けといた。我ながら結構頑張ったと思う。


「………」


鏡があるので一応確認。き、気持ち悪いな俺…。ご丁寧になっげえ黒い靴下まで用意しやがって意味わかんねえ。スカートっつーか服の丈短えしスースーして落ち着かない。そんなの言っても意味ないので仕方なく臨也の元へ向かった。


「…いざや」

「シズ、ちゃ…可愛いっ!」


臨也の顔をまともに見られないでいたが、臨也の反応からして喜んでそうだったのでゆっくりと顔をあげた。


「…え、臨也、お前、何して…」

「何って、あ、これ?」

「…ああ」

「そりゃあシズちゃんがナースなんだから、俺はドクターでしょ!」


臨也は白衣に身を包み、眼鏡までかけていた。まあ、ドクターっつーか、新羅スタイルだよな…。まんま新羅だな。と言いたくなったが機嫌を損ねそうだったからやめておいた。


「じゃあ、もう脱ぐぞ」

「えっ待ってよ!」

「着るだけっつったろ」

「だってだって、折角俺こんな格好までしたのにもう終わりとか早いし、それにシズちゃんたんたんと着てそこまで恥ずかしがってもないし、なんか面白くないというか…」


相当恥ずかしいんだがな。


「だから、も、もう少し!」

「ぜってー嫌。……っ!?」


臨也が飛び付いてキスしてきた。飛び付かれたからバランスを崩して床に倒れ込む。


「っん、ふ…」

「ん……」


深いキスにだんだん気持ち良くなる自分が居いて嫌気がさした。臨也に流されっぱなしだ。頭がぼやあっとして何も考えられなくなってくる。


「…っ…!」


臨也が突然、内股を撫でてきた。びくりと足が反応し、それによって少し意識がハッキリしだした。
そうだ、俺はナース服を着るだけだったはずだ。なにこんなノミ蟲にヤられようとしてんだよ。冗談じゃねえ。
臨也が口を離した所で上体を起こす。


「シズちゃん…?」

「お前、話が違えだろ」

「やっぱ、ドクターとナースのイケナイ関係ってのを表現してみたいじゃん?」

「………着替える」

「えっ?ちょ、待ってよシズちゃん!」

「で、帰る」

「正直シズちゃんきもちよかったでしょ?」

「………帰る」


殴る気力も起こらず、俺は着替えて臨也の家から立ち去った。




愛の注射をして下さい






セレーノのなちさまより10000hit記念で頂いてきました!
ナース服を着る静雄とか欲望まみれのリクエストっぷりを披露してしまったんですが、こんなに可愛い臨静が出来上がるなんて感無量ですッ…!
ナース服のデザインは私が描いた絵を元にして下さったそうで、私…ナース静雄描いて良かった…!あんな落書きでも描いて良かった…!
何だかんだで流されちゃう静雄ラブ!臨也さんに言われた通り律儀にナース服って言い直してる静雄ラブ!医者コス折原エロいぞラブ!
なちっちゃん素敵なナース臨静を有難うございました…!改めて10000hitおめでとうございます(^^)!



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