仕事終わりにフラッとやって来たシズちゃんと一緒にお酒を飲んで、テレビなんて見ながらどうでもいい会話を交わして、酔いが回ってシズちゃんの目がとろんとしてきた頃合いを見計らって優しくキスをしてソファに押し倒し、さぁヤるぞ!と意気込んだ瞬間、シズちゃんが怪しい呂律でしかしハッキリとした声でこう告げた。


「今日は、俺が上になるから」


…え?
一瞬ぽかんとしたあと、あぁなるほどシズちゃん俺の上に乗っかってくれるんだねいわゆる騎乗位ってやつ?やだなあ大胆なんだから!
なんて冗談は、がばりと起き上がったシズちゃんが俺を押し倒したことにより、喉の奥へと押し込まれた。
ぐるりと反転した世界に、俺の思考は一瞬停止する。


「シ、シズちゃん?」
「いいだろ、別に。初めてじゃねえ」
「それはそうだけど…いや、そういう問題じゃないっていうか…」
「ごちゃごちゃうるせえ。黙ってろ」


伸しかかる胸をぐいと押し返すと、うざったそうな顔をしたシズちゃんに頭の上で腕を纏め上げられてしまい、身動きが取れなくなる。
これはヤバイ。非常にヤバイ。
いくら酔っているといっても力でシズちゃんに敵うわけないし、このままじゃ俺本当にヤられ…いやいや考えたくない。

確かにシズちゃんとこういう関係になって初めてセックスをしたとき、下になったのは俺だった。
でもそれはシズちゃんの童貞と処女どちらも奪いたかったという俺の歪んだ独占欲による苦渋の決断で、決してシズちゃんに掘られたい願望があったわけじゃない。
実際、童貞を奪ったあとはすぐさま処女も奪って、それ以降はその立場が逆転することもなかった。
シズちゃんもそれで納得してるんだと思っていたのに…実はそうでもなかったらしい。

頭上にあるシズちゃんの顔を見上げると、酔いでとろんとしているもののその瞳は真剣そのものでふざけている様子は少しも無い。
非常にまずいこの状況に、脳内は必死に打開策を求めぐるぐると働き続けるが、焦れば焦るほど良い方法なんてひとつも浮かんではこなかった。コメカミの辺りを冷や汗がタラリと流れ落ちる。
しかし、ぐいっとシャツを捲りあげて、俺の胸を触り始めたシズちゃんのあまりに不慣れでたどたどしい手つきに、思わず緊張の糸が切れ、笑みがこぼれてしまった。
いつもされていることを俺にもしてやりたいんだろうけど、シズちゃんエッチのとき殆ど意識飛んでるからあんまり覚えてないんだろうなぁ…。


「…何笑ってんだ」
「いや、別に?続けてよ」
「っくそ、感じねえのかよお前」
「んー、俺はシズちゃんと違って乳首であんあん言っちゃうような淫乱じゃないからなぁ」


にやにやしながらそう告げると、シズちゃんの顔はたちまち真っ赤になって、くそっだの死ねだの悪態をつきはじめる。
押し倒されたときはパニくっちゃってどうしようかと思ったけど、少し冷静になった今ならいくらでも回避策が浮かぶ。
まずは、このポジションを何とかしようかな。


「っあ!」
「どうしたのシズちゃん?続けてくれていいんだよ?」
「てっめ…!やめっ…、んんっ…!」


腕は纏め上げられたままだったのでとりあえず自由な足を駆使することにして、膝のあたりでシズちゃんの股間をぐにぐにと押し上げると、敏感なシズちゃんの体は面白いほど反応する。
腕を掴まれる力が弱まったので、シズちゃんの拘束から抜け出すと、自由になった手のひらでシャツを捲り上げ、あらわになった胸の飾りをぎゅうと摘まむ。


「あっ、ん!」
「シズちゃん、俺にこういうことしたかったんでしょ?」
「はぁっ…あぁっ…ん、あっ」
「今度する時困らないように勉強しなよ。ほら、ちゃんと見て」


右手で乳首をくりくりと摘まみながら、もう片方は左手の親指の腹でぐにぐにと押し潰すように刺激する。
シズちゃんはゆるく首を振りながら、唇を震わせて喘ぐ一方で、最早俺の声が届いているのかどうかも分からない。
ああ、可愛いなあ、本当に。
にやりと口角を吊り上げ、シズちゃんの腕をぐいと引っ張り、ソファへとその細い体を縫いつけた。
さあ、これで元通りだ。


「シズちゃん、もうガチガチじゃん。そんなに気持ちよかったの?」
「やっあ…、やめっ…!」
「でも今日はこっちは触ってあげない。シズちゃんはお尻の穴だけでイける淫乱だってこと、もう一度身を持って教え込んであげる」


もう二度と反乱なんて企まないように、ね。
ぐずぐずになった後ろの穴にローションを垂らし、前戯もそこそこに自らの昂った熱を押し込めた。


「あ、ああああっ、あん、ふ、…いたっ…!」
「…っん、きっつ…!」


やっぱりほとんど慣らされていないソコはとても窮屈でシズちゃんも最初のほうこそ痛そうにしていたけど、何度かゆるく抜き差しを繰り返すと、その痛みすら快感に変えてしまったらしい。
シズちゃんは先程と同じように、うつろな表情であんあんと喘ぎはじめた。


「あっあっあっ、いざやっ…ん、もっ…!」
「シズちゃんさっ…もう、俺に突っ込もうとか馬鹿なこと考えるの止めなよ?」
「あん、はっ、あ、やっ…もっと…いざやっ…!」
「シズちゃん聞いてる?ま、こんな淫乱ちゃんが何度奇襲をかけてこようがいくらでも交わせる自信はあるけど、ねっ!」
「あああっ!やっ、やっ、だめっ…、ああ!」


ぐちゃぐちゃと卑猥な音を響かせながら、思いきり最奥を突きあげるとシズちゃんは甲高い声を上げながら白濁を吐きだした。
俺も一呼吸遅れて、シズちゃんの中に欲望を吐き出すと、くたりと崩れ落ちたシズちゃんの体をぎゅうと抱きしめる。
はあはあと肩を上下させている荒い呼吸の合間に、今度は媚薬でも盛ってやる…という物騒な呟きが小さく聞こえてきて、俺は今後彼から出される食べ物や飲み物には充分気をつけようと心に誓った。








(っていうか、諦めてなかったんだねシズちゃん。往生際悪いよ)
(はあ?何のことだよ)
(目が泳いでるんだけど…まあいいや。そんなシズちゃんにはまだまだお仕置きが必要みたいだね)
(何言って…あっ、やん、どこ触ってんだ…!)



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