今日は休日だというのに忍たま長屋の方は騒がしかった。

「みょうじー!」

生物委員会に足を運んだら遠くから竹谷の声が聞こえた。構わずに生物小屋まで行くと後ろから腕を引かれた。暑い、触るな、そんな考えばかり浮かぶ。決して竹谷が嫌いとかそんなんじゃない。とにかく今は生物小屋で涼みたかった。

「休日なのに何で生物委員の皆集めてるの、竹谷」
「いや、ジュンコが逃げたんだ。みょうじも一緒に探してくれないか?」

まあ一応生物委員だし、今ごろ孫兵はジュンコいなくて泣いてるだろうし後輩のためにも探してやらないといけない。生物小屋に行こうとしていた足はくのたま長屋に向いていた。後ろから竹谷が悪いなー!と叫んでいるのを聞いた後くのたま長屋から悲鳴が聞こえた。行儀見習いの教室だろうか、甲高い声だ。きっとジュンコがいるんだろうなと悲鳴の聞こえる方へ走った。

悲鳴が聞こえた教室は後輩達の教室で、案の定ジュンコはそこにいた。後輩達は教室の隅で固まっている。

「なまえ先輩!」
「ごめん、怖かったね。おいでジュンコ」
「なまえ先輩は大丈夫なんですか?」
「あたしは慣れちゃったかな」

しゅるしゅると腕に巻き付き肩にまわるジュンコを横目に、後輩達の安全を確認したあと教室を出た。ジュンコ噛むからなあ、と首元で落ち着くジュンコを見やったあと忍たま長屋に向かった。近くでジュンコ〜と呼ぶ声が聞こえる。

「孫兵!」
「みょうじ先輩!あっジュンコぉ〜!」

ジュンコジュンコとあたしごと抱き締める孫兵にため息をつくと竹谷の姿が見えた。まだ必死にジュンコを探しているらしく、その姿を見て吹き出した。

「おーい竹谷、ジュンコ見つかった!」
「あ、みょうじ!本当か!って孫兵お前なにしてるんだ?」
「なんかあたしごと抱き締められた」
「ジュンコ〜もう何処にも行くなよ〜」

やれやれと竹谷は苦笑いをして肩を落とした。というか暑い。孫兵もいい加減にしてくれないかなと思っていたら竹谷が口を開いた。

「おい孫兵、みょうじが迷惑してるだろ」
「あ、先輩すみません。ジュンコをありがとうございました」
「いや、いつものことだし」

じゃあ、と元来た道を帰ると竹谷が後ろから走ってきて腕を引かれた。なにこれデジャヴ?

「みょうじ、ちょっといいか?」
「なに?」

手を引かれるがままに足を動かしていたら生物小屋についた。まだ逃げ出した生き物がいるとしたらとんだ迷惑だ。竹谷は立ち止まりこちらを振り返った。草木がざあ、と揺れる。

「その、な」

竹谷はあたしに腕を伸ばし瞬きをした瞬間温かいものに包まれた。それが竹谷だということに気付くのは時間がかかる作業ではなく、当のあたしはただ黙って竹谷を見上げた。

「孫兵だけ抱きつくのもずるいと思ってさ!」
「いやあれはジュンコが…あのごめん竹谷、暑い」

別に竹谷とあたしは生物委員会が一緒なだけで決して恋仲などという関係ではない。こんな場面を誰かに見られたら誤解が生じるなとのんきな事を考えていたら抱き締める力が強くなった。痛い。

「あ、竹谷先輩!っていいところでしたかすみません」
「おー孫兵!」
「うわあ孫兵これは違うんだよ竹谷が抱きついてきたんだよ」




竹谷は途中放棄が多い


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