テストの解答を書き終えてぼうっと体育館を見ていた。私のクラスからはちょうど体育館の中が見える。窓側の席だし、真っ暗な体育館はよく見える。あと十分も時間があるし、私は頬杖をつき眠気と戦いながら体育館を眺めていた。

(誰もいない体育館でボールの転がる音がする)

なんてありがちな怖い話を思い出すけど嘘に決まってる、と瞼をおろす。そしてふと目を開いて体育館を見るとバスケットボールがバウンドしていた。

「っ!」

真っ暗な体育館。誰一人といない。こんなのあり得ない、きっと疲れてるんだと体育館を見るのをやめた。

(気のせい、きっと見間違い)

テスト終了のチャイムが鳴り、帰りの準備をしていたら幼なじみの竹谷が一緒に帰ろうと言ってきた。断る理由もないしと竹谷のもとに向かい二つ返事をした。二人で校門まで行くと何処からか視線を感じ振り返った。体育館の入り口に目を向けるとバスケットボールを持った女の子がいた。

「なまえ?」
「あ、うんごめん」

竹谷が帰るぞと手をひいた。最後にちらりと体育館の入り口を見るとその女の子はいなかった。

「どうかしたのか?」
「いや、体育館にこっちを見てる女の子がいて」
「へぇ、今日は部活ないのにな」

なにか引っ掛かるなと隣で呟く竹谷を横目に、私は何か胸騒ぎがすると帰路を急いだ。竹谷と別れて家についても何処か落ち着かなくて、早めにご飯とお風呂を済ませて寝ようと思った。が、竹谷から電話がきてそれは出来なかった。

「もしもしなまえ?」
「どうしたの竹谷」
「いや、明日の朝さ…」

竹谷の話を相槌しながら聞いていると階段を上がる音がした。お母さんだろうか。気にせず竹谷と話していたらゆっくりと自室の扉が開いた。

「じゃあ、明日は7時から一緒に行こうな!」
「うん、分かっ…」
「…なまえ?」

ゆっくりと開かれた扉の先にはお母さんではなく体育館で見た女の子がこちらを覗いていた。そしてぎしり、とこちらに歩いてくる。狙った獲物は逃がさないかのように、ゆっくりと。

「なっなんで……いやだいやだ来ないでっ」
「なまえ!?おいなまえどうしたんだ!?」

携帯からは竹谷の焦った声が聞こえるがそれどころではなかった。なんでこの子がここにいるのだろうか。

(誰もいない体育館でボールの転がる音がする)

冷や汗がとまらない。一歩一歩こちらに近付く女の子に対し私は後退る。後ろにはベッドしかなく、どう考えても逃げられない。いっそ窓から飛び降りようかと思ったけどここは二階だ。降りられたとしても何処かしら怪我して逃げれない。

「私の…竹谷くん」
「え」
「私の、竹谷くん!」

今まで伏せていた顔を上げて私の首を締める女の子を見れば殺気と怨み憎しみ妬みを含んだ瞳をしていた。私きっと殺される。

「見つけた」
「やっと見つけた」
「竹谷くんのために」
「塵は捨てないと」

ぎりぎりと首を締めて爪を立ててくる。苦しい痛いしぬ。私の竹谷くん?わたしのたけやくん?

「なまえっ!」







途中でよく分からなくなって飽きちゃった竹谷


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