「うん…朝…朝!?」

はっとして頭が覚醒する。焦って時計を見ると5時36分。まだ余裕じゃないか…と、まぁ覚醒してしまったし二度寝する気もないので取り敢えずテレビをつける。そして違和感。ソファーで寝てるの、誰。恐る恐る近づくと髪が長くて顔が見えない。え、うそ女の人…?これなんてホラー?涙目になりながら取り敢えず顔にかかっている髪を退けようと手を伸ばした。私意外と勇気ある。後もう少しで髪に触れるところでがしりと腕を掴まれた。

「ぎゃあああ!」
「ん、煩い」

長いくるくるの髪がするりと滑って顔が見えた。…え、いやいや男?しかも凄く美人?え、え、これ警察呼ぶべき?

「だっ誰ですか貴方!不審者?いやこれ不審者だよね?綺麗な顔しながら怪しいことするんですね!」
「昨日、拾ってくれた。豆腐、美味しかった。」

あと引っ掻いてごめんとソファーに寝転がったまま言った不審者。は、なにそれ。まるでクロみたいな…そういえばクロがいない。どこに行ったのだろう。

「すみません、不審者に聞くのもなんですが猫いませんでしたか?」
「ん、俺」
「は…?」
「昨日、人間になってほしいって」
「…本当にクロなの?」
「クロ?じゃない。久々知兵助」

昨日拾ってくれたし風呂にも入れてくれた。風呂に入れてくれたのはおばさんだったけどと言う彼は本当にクロなんだろう。なんかもうここまで言われたら信じるしかない。はっとして時計を見た。やばい朝ご飯…!取り敢えず学校の鞄を持って玄関に走る。するりと久々知くんが後をついてきた。

「どこに行くんだ?」
「学校!夕方には帰ってくるから!出来れば猫の姿でいてね!じゃあ行ってき」
「行かないで」

がしりと私の腕を掴む久々知くん。いやあの、学校行かないと…眉を下げて不安そうな顔でこちらを見る久々知くんにどきりとする。

「置いて行かないでくれ」

今にも泣き出しそうな顔にはっとした。そうだこの子、捨てられてたんだ…私は狼狽えながらもなるべく早く帰ってくるからと言い部屋を出た。久々知くん、お願いだから泣かないで…!

「あらナマエちゃんおはよう。今日学校?」
「おはようございます。え?何言ってるんですか学校ですよ」
「珍しいわねぇ祝日に学校だなんて」
「…あ」
「え?」

き、今日祝日だった…!恥ずかしい!学校休みじゃないか…!

「すすすすみません間違えました!」
「あらあら忘れてたのね」

顔がとても熱いです。


20110520


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