「今日は和食かぁ」
おばさんが作ってくれた晩ご飯に箸をつける。さっきクロ(猫の名前はクロになった。我ながらセンスがない)に引っ掻かれたとこには絆創膏を貼った。懐いてくれるのだろうか。寮の皆にばれないように飼うのも大変だし、ご飯やトイレはおばさんが用意してくれるって言っていたし。何から何まで申し訳ない。
「せめて人間だったら良かったのに」
そう一人呟いて豆腐のよそってある小鉢をとった。食べようとしたら下から視線を感じる。案の定、そこにはさっきまで部屋の隅にいたクロが此方を見上げていた。気配も何もなかったから変な悲鳴が上がる。なに、いきなりどうしたのこの子。
「豆腐…?」
クロの視線は明らかに私の手の中にある豆腐。え、まさか食べたいとか…?猫って豆腐食べれるの?でも匂いとかで食べれるか判断するしクロが食べたいなら…と小鉢をクロの前に置いた。すると心なしかクロの目が輝いている。そしてはぐはぐと豆腐を食べはじめた。え、ちょ、本当に大丈夫…?
その後クロは見事豆腐を完食した。私もご飯を食べて風呂に入って寝た。クロはきっと隅で寝ている。もしかしたらまだ警戒心がとけてなくて寝てないかもしれない。
(明日は今日と違いますように)
20110520
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