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※書いたあとに白石と謙也が同じクラスだということを思い出したクズ。色々と許せる人向け。




四限目の授業中、教師のくだらんギャグを聞きながらポケットに振動を感じた。メールか、と携帯を取り出すと案の定、謙也からだった。昼飯一緒にどうや?という内容におう、とだけ返してまたくだらんギャグに耳を傾けた。めっちゃおもろないわこのギャグ。

授業終了のチャイムが鳴ると謙也がスピードスターで俺の教室まで来た。どんだけ腹減ってんねんと苦笑して屋上に向かう。なんてことない日常、いつもと何ら変わらない行動なのに、今日だけは違った。

「うおっ。」

隣から聞こえた声に振り返る間もなく自分の体が浮き、次の瞬間衝撃が走った。

「いって…。」

こけた。この歳にもなって、段差に気付かへんなんて。隣を見れば謙也も同様に床に突っ伏していた。うわ、こけ方ダッサ。ちゅーか二人してこけるてどないこっちゃ。立ち上がりアホちゃうんー!とげらげら笑っていたら俺らの前に人がいるのに気付いた。

「ほ、ほもだ…。」

小さく、小さく呟かれた声は女の子のもので、しかも俺には聞き覚えのあるかわいらしい声だった。どっと冷や汗が出る。彼女を視界に入れる過程がまるでスローモーションのように流れた。

「え、ミョウジさ、」

ミョウジさん、と呼ぶ前に彼女は謙也にも負けないくらいの速さで廊下の角を走ってった。ミョウジさんや。あのミョウジさんが、とんでも勘違いをしたまま走ってった。

「…って!謙也!どないすんねん!ミョウジさんめっちゃ勘違いしてったやないか!!」
「うおっ俺のせいなん!?ちゅーかなんやホモて…ただ会話してただけやん。」
「しね謙也!ミョウジさん!勘違いやで!しね謙也!」
「せやからなんで俺やねん!?」

ミョウジさんは俺が一年生のころから片思いしとる子で、せやけど一度も話したことがないちゅー悲しい事実や。初めての会話が勘違いて、俺これから先どないしたらええんやろ。

「ん?」

廊下の角に目をむけると、走り去ったはずのミョウジさんが首だけ出してこちらを見ていた。か、かわええ…じゃなくて!

「ミョウジさん誤解や!」
「わ、わ、誰にも言わないから!」
「あ、ちょ、逃げんといて!」

ミョウジさんと俺の追いかけっこが始まった。取り敢えず謙也しね。


20130320
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