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窓から入る日差しに軽く眠気が襲ってくる。隣に目をやると思いっきり顔を伏せている銀髪がいた。不良で有名な長曾我部くんだ。席替えをしたら隣になって人生終わったと思ったけど不良だし学校来ないよなと余裕かましていたらこの人毎日登校してる。なんか偉い。じゃなくて!長曾我部くんは爆睡だ。暫く見ているともぞもぞしてこちらを向いた。ね、寝顔可愛い…!じゃなくて!先生がこちらに来る。起こさないと先生ねちねち煩いから静かに長曾我部くんの肩に手を添えた。殴られません様に!

「ちょ、長曾我部くん」
「ん、んん…」
「長曾我部くん、先生きま、す…よ…」
「ん、…あ?」

ゆさゆさしていたら彼はゆっくりと目を開いた。あまりにも目付きが悪くて小さくひぃ!と悲鳴を漏らせば次第に覚醒してきたのかぱちぱち瞬きをしている。

「先生きます」
「…あぁ」

そう言うと長曾我部くんは前を向いた。それと同時に先生が歩いてくる。こつ、こつ。ばくばくと心臓が鳴る。長曾我部くんをちらりと盗み見ればばちりと目があった。え、あれ、盗み見た意味がない。ばくばくばくともっと心臓が鳴って口から出そうだった。長曾我部くん怖い。目を逸らせずにいると彼がするりと私の机に紙切れを置いてきた。ぎゃあちょっと先生がいるのに!と内心ひやひやしていると先生は教卓の方に歩いていった。それをしっかり確認して折り曲げてある紙切れをかさりと開く。日差しがあたたかい。

(ありがとな。あいつねちねちうるせぇから助かった)

達筆な字でそう書いてあった。男の子なのにやけに綺麗な字だなあ…と感心しつつ意外と優しいのだと分かった。てっきり放課後裏庭に来いや的なのが書かれているのかと。

(私もあの先生は苦手です。今日は日差しがあたたかいから眠いですよね)

先生が黒板を向いているときにするりと長曾我部くんの机に紙切れを置いた。なんか長曾我部くんは驚いた顔をしていたけどすぐににかりと笑う。どうしよう凄くかっこいい。
暫く紙切れでやりとりをしていたら授業終了のチャイムが鳴る。挨拶を終えると頭上から声がした。見上げれば背の高い長曾我部くんがにかりと笑っている。

「助かったぜ。またよろしくな」

心臓が騒がしい。静かにしろ。


20120513.結構前に書いたような。続くかも。
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