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「仙蔵、ミョウジを知らないか」

最近見ないよな、と目の前にいる文次郎は酷く滑稽であった。一瞬本当にボケてしまったのかと思ったがそうではないらしい。

「何を言っているんだ文次郎。ミョウジは学園を出ていっただろう」

先日お前に別れの言葉を言いに来ていたではないかと言えばそれはもう目玉が飛び出すのではないかというほど目を開いた。なんだこいつ、知らなかったのか。

「家の手伝いで帰ると言っていたな」

そう言うと文次郎は部屋を飛び出そうとしたが上げた腰をゆっくりと下ろし暫く停止していた。馬鹿な奴だ。本当に、馬鹿で愚かな奴である。

(奴は酷く椿に似ている)

20111205
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