___

「え、なにどうしたの。」
「ええからええから。」

久しぶりに来た彼の部屋で気づけば私は膝枕されていた。状況が掴めず起き上がろうとするが、彼がそれを阻止する。

「侑士?」

下から見上げれば微笑んでいる彼と目があった。なんだか新鮮で、直視出来なくて思わず目を反らす。くすくすと笑い声が聞こえたので睨めば、怖いわあと呑気な声が返ってきた。

「ねえ、どうしたの。」
「別に。ナマエの顔に疲れてますって書いてあったから、侑士くんが労ってやっとるんやで。」

言い方が気に食わなくて手を上げたら彼の大きな手にやんわりと包み込まれて、もとの位置にもどった。間違ってないやろと彼が言うから、否定できないで黙っていた。

「侑士はすごいね。」
「おおきに。ナマエのことなら何でもわかるで。」

ふんわり笑って私の頭を撫でる手が心地よくて、ゆっくりと目を閉じた。でも仕返しがしたいので、再び目を開ける。彼はどんな反応をするかな。

「侑士、ありがとう。大好き。」

すると彼の大きな手が視界を塞いで、目の前が真っ暗になった。隙間から彼を見ると、耳が赤かったので吹き出してしまった。こら、と頭上から聞こえてきたけど、知らんふりしてまた目を閉じた。


20141015.
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -