お兄さんは時々ナイーブ

『――市在住の幼児を拉致し、暴行を加えた上で殺害したとして――』

「……こういうニュース見るとさ」
「うん」
「お前が小さかった頃の俺って結構やばかったよなって考えるんだよな。犯人の供述とか、なんか理解出来ちまうし。流石に鬼畜外道一直線の奴はアレだけど」
「……でも、兄さんは実際に手ェ出したりはしなかっただろう?それは大きな違いだと思うがねェ」
「……ちがうなぁ、柳生に生まれてなかったら、俺は十中八九あっち側の人間だったよ。結局のところ、生まれた場所が良かったってだけだ」
「…………」
「結局、手ぇ出しちまってるしな?」
「……それは俺の意思で選んだ道だ、それだけは間違えないでほしいなァ」
「そうだな」
「……苑士、」
「愛してるよ、宗矩。それだけは絶対間違えも迷いもしねぇから、んな泣きそうな顔すんな」
「…………ずるいなァ、兄さんは」
「大人だからな」
「兄さんは見た目に反して枯れすぎなんだよォ、滅多に手ェ出して来ないしねェ」
「お前が見た目に反して旺盛過ぎなんだよ。もう少し欲を隠せ」
「おじさん、これでも兄さんよりずっと若くて体力もあるからさァ」
「お兄さんもうすぐアラサーのオジサンだから若い子のノリにはついていけませーん」
「(……くそ、今の顔可愛かった)」
「(よし、勝った)」