≫郭嘉を置いて逝く


※延々会話文
※夢主が溌剌と死にかけ
※あの時代の宗教観がいまいちよくわかってないので言ってることおかしくてもスルーしてやってください



「なんだか、とても老けたね」
「余喘の際に交わす言葉が言うに事欠いてそれかてめぇ」
「情けないくらいにぼろぼろだ」
「そうだなぁ、もう寝返りすら一人じゃうてねぇんだよ。情けねぇなぁ」
「苦しい?」
「……いんや、どっちかっつーと気持ちいいかも」
「へぇ、どんな風に?」
「なんつーか……あれだ、美味い酒でほろよいになったような」
「あぁ…それはいいね」
「替わってやろうか?」
「実に甘美なお誘いだけれど、遠慮したいかな。まだ天女を口説き落とす策を思い付いていないからね」
「てめぇみてぇに女食いもんにしてる男が極楽に行けたら、閻魔のところに殴り込むぞ俺は」
「ひどい言い草だ」
「うっせ。末期の言葉ぐらい好きに喚かせろ」
「……まさか、貴方が先に逝くとは思わなかったよ」
「俺だってそうだよ。絶対お前が先に死ぬと思ってた。主に痴情の縺れで」
「それもまた運命、かな」
「男としちゃ有りでも、人として無しだろそりゃ」
「そうかな?そこまで熱烈に愛してもらえたのなら、寧ろ光栄に思うけれど」
「想い想われてれば、の話だろ」
「……なら、私が今ここで貴方の息の根を止めるのも、有りなのかな?」
「……いいぜ。簡単だろ、こんな死にかけ、どうせ大した抵抗もできねぇ」
「…………出来ないと、思ってる?」
「やらないと思ってる」
「……なら、止めておこうかな。どうせ手を下すまでもないんだからね」
「そうだな。……あー、なんか久々に長く喋ったら疲れた」
「ああ、ご老体に無理をさせたようで済まないね」
「まだ引っ張んのかそれ。まぁ確かに、ガリッガリだけどよ」
「…………」
「……どうした、別に溶けて消えやしねぇよ」
「……極楽浄土なんて、これっぽっちも信じてはいないけれど」
「…………」
「もしも、本当にそんな場所があるのなら、そこで待っていて欲しいな。……そう永くは、待たせない筈だから」
「……待っててやるから、出来るだけゆっくり来いよ」
「うん。…………ねぇ、」
「なんだよ」
「愛しているよ。この先も、ずっと」
「……あぁ、俺も、愛していたよ、お前のこと、ずっとな」