≫素直じゃない陸遜と呂蒙さんの副将


先に投稿してた呉軍ネタがあまりにも暗いんで、呉軍でなにか明るい話と考えてたら受信。
ツンツン陸遜とそんな陸遜に好かれちゃった夢主。そして板挟みになる不憫な呂蒙さん。

夢主は呂蒙さんに古くから付いている副将で、猛勉強し始めた呂蒙さんに感化されて同じく文武両道となった人。元は文官なのでトウ艾さんタイプです。
呂蒙さんと二人、お互いに無いものを教え合い鍛え合い、切磋琢磨の努力の末に文武両道となった二人は呉軍内でも素晴らしい主従だと評判になるわけですが、何故だか陸遜はそれが面白くないらしく、夢主にばかり突っ掛かってくる。
元が文官とはいえ所詮は一副将、その知略は名軍師には遠く及ばないし、武芸の腕だって勇壮な武将と張り合えるものではない。そんな中途半端さをちくちく刺してくる訳です、陸遜さん。会う度笑顔で嫌味言われてたらそりゃあ腹も立ちますし嫌いにもなります。好感度なんてゼロ以下のマイナス値。しかも呂蒙さんとか自分以外の人には清廉な爽やか好青年な態度なんですもん。あーはいはい嫌われてるんですねだったらわざわざ近付いてくんな糞が、とは言えないのが地位と身分の差。

だがしかし、陸遜は別に夢主が嫌いな訳ではない。寧ろその逆。夢主が好きで好きすぎて自分でもどうしようもなくなってツンツンしてしまうツンデレなんです。いつも今日こそは優しくしようと思いつつも嫌味を言ってしまい、呂蒙さんに呆れられる日々。見つめあうと素直にお喋り出来ないを素でいく男、陸伯言。裏目に出まくりだけどな。

自分にばかり冷たいというか陰険な態度をとる陸遜に、ちくちくぐさぐさ傷付けられ続け、しまいにゃ「貴方のような人が副将だなんて…呂蒙殿も災難ですね」とまで言われてついにプッツン来てしまった夢主。
わかったよそんなに目障りなら辞めてやるよ居なくなってやるよゴルァ!(゚д゚)と啖呵を切ってしまう。
今までどれだけつついても怒らなかった夢主の激昂に陸遜ポカーン。呂蒙さんあーあと頭抱える(付き合い長い呂蒙さんには夢主のマジ具合がわかってる)。
黙って背を向けた夢主を陸遜が咄嗟に引き留めようとするも、伸ばした手は弾かれるし、振り返った夢主が自分を見る目が絶対零度で漸く事の重大さを理解した陸遜。遅い。

「…これで満足ですか?」
「あ、え、えっ?…え、ほ、本気なんですか?えっ?ほ、本当に、」
「ええ本気です。ご安心ください陸遜様、二度と戻るつもりなどございませんので。こちとらテメェの顔なんざ頼まれたって二度と見たくねぇんだよ糞が」
「……!!!!」

言いたいこと言ったし今の自分は止めても無駄なことを呂蒙さんは解ってると理解している夢主は今度こそ背を向けて歩き出そうと、します。けどできない。さて何故でしょう。

「……離してください」
「…………や、です、」

答え、陸遜が夢主の服をしっかり掴んでいるからでした。無理矢理その手を弾いて逃げることが出来なかったのは、なんかしゃがみこんじゃった陸遜がはらはらと涙を流しながら嗚咽を漏らしていたから。今度は夢主がポカーン。
いや、泣きたいの私の方なんですが陸遜様。虐められ続けた挙げ句自主退職に追い込まれた私の方なんですが陸遜様。いやまてこれは孔明の罠だ落ち着け素数を数えろひっひっふー。
子供みたいに踞りながらぐすぐす泣く陸遜はなんでか譫言みたいに「いや」とか「やだ」ばっかり繰り返して全く要領を得ないので、段々と困惑より苛立ちが勝ってくる夢主。服は離してもらえない。話もできない。困ったように呂蒙さんを見つめてみると、なんか盛大に溜息を吐かれた。解せぬ。

「……陸遜、だから俺はいつも『いい加減素直になれ』と言っとっただろうが」
「っ、だっ、だって、だって、ぇ」
「だってもなにもあるか。あのような態度では嫌われても仕方がないだろうが。寧ろ今日まで耐え続けたこいつを褒め称えたい気分だぞ俺は」
「き、きら…っ!?な、あ、うぁ、うぁあああああああ!」
「ちょ、呂蒙殿なに追い討ち食らわせてんですか号泣してんじゃないですかうっわ面倒臭ぇ」
「本音が出とるぞ」
「や、いやです、いや、きら、き、ききき、きっ、きらっ、きらいになっちゃいやですぅぅうううあああああん!!」
「「いやそれお前が言うなよ」」

ついには抱き着いて号泣し始めた陸遜に困惑するしかない夢主。いや、嫌いにならないでってそれあんたが言える台詞じゃないし、寧ろあんたが私を嫌ってるんでしょうが。
いいえ逆です大好きなんです。好きな子程いじめちゃう精神というか、呂蒙殿ばかり見てる(副将だから当然)夢主への方向を間違えた嫉妬と初恋故のどうしていいかわからないフラストレーションに暴走した結果がツンツンな態度になってしまっただけなんです。
そんなことを疲れた表情の呂蒙殿から聞いて終始呆れ顔の夢主。抱き着いてからべったり貼り付いて離れない陸遜。

この後なんやかんや話し合ってとりあえず辞職はなしということで落ち着いて、散々泣き喚いたり抱き着いたりして恥晒したせいか、吹っ切れた陸遜が前日までのツンはどこに置いてきたのかというデレデレっぷりで夢主に迫るというところまで妄想。
吹っ切れた陸遜の勢いは尋常じゃないでしょうね。若さ故の押しの強さと陸遜本来の計算高さではたして夢主を落とせるのか否か。そんなお話。

「呂蒙殿、彼を私の副将にください!寧ろ陸氏に養子に来てください家族になりましょう一緒になりましょう絶体幸せにしますから!」
「いやだ絶対異動しません養子にもなりません一緒になりましょうは可愛い女性に言いなさいっていうか早くお帰りになりやがれいちいち抱き着くな!」
「……お前らさっさとくっついてくれ頼むから」