目玉焼き論争2
時系列なんて何のその。
謎時空間。
あの人もあの人も、みんないる。
《目玉焼き論争その2》
「ふぁぁ〜……眠い。朝飯なんぞいらんっちゅうに」
「何言うてんのや、兄弟。今日は観光なんやからちゃんと食うとけや。最後まで持たへんぞ」
「極道モンの幹部、それもオッサンが揃いも揃って観光て……とにかく、ウチの組は基本夜型や。朝飯なんぞ暫く食っとらんわ」
「旅行なんやからたまにはええやないか。……量は食えんでも、ここはバイキングなんやから自分の好みで、好きなもんよそったらええやんか」
「まぁ、せやな……」
「ん?『玉子は以下からお好きな様に選べます』……ほう、玉子焼き、茹で玉子、温泉玉子、オムレツ……種類豊富やな。俺は目玉焼きにしよか。兄弟はどないする?」
「んあ?そんなん目玉焼き一択やろ。……おう兄弟、その味噌汁俺にもくれや」
「他もみんな美味いやないか。……ほれ、これでええか」
「ありがとさん。……玉子焼きは甘いのはよう食わんし、後は気分やないわ」
「そないに我儘ばかり言うとると、あっちゅう間に老けてまうで」
「ど阿呆ゥ!我儘とちゃうやろが!俺は卵なんぞに負けるタマやないわ!」
「なんやねんそれは。しかし、席が空いとらんな……お。六代目、桐生、おはようさん。此処の席ええか?どこも空いとらんのや」
「冴島さん、真島さん、おはようございます。ええ、どうぞ」
「おはよう。丁度良い所に来たな」
「おはよーさん。なんや桐生ちゃん、丁度ええて?」
「いや、大した事じゃないんだが……」
「なんや?どないしたんや?」
「冴島さん、実はですね、」
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「ほぉーん?なんや、目玉焼きの食べ方かいな」
「『食』っちゅうんは人それぞれ好みはあるもんやからな」
「ええ、それでお二人はどうなのかと思いまして、つい」
「なるほどな。せやったら、丁度俺らも目玉焼き貰ってきた所や」
「冴島さん、それは…」
「これか?固焼きに塩コショウやな」
「ほう、シンプルなんだな」
「兄弟は若い頃からずっーとこれやな」
「まぁ、せやな」
「そう言う兄さんは何で食べてるんだ?」
「ワシか?ワシはこれや」
「ああ、醤油ですね」
「黄身はほぼ生なのがポイントや」
「へぇ、半熟じゃなくて、ほぼ生ですか?」
「せや。先に白身だけ食うて、黄身を白飯に乗っけて卵かけご飯みたいにして食うんや」
「へぇ、なるほどな」
「コイツは昔っからそれやな」
「お互い様やろ」
「ふむ、また食べ方が別れたな……」
「そうですね、あまり被ってないですし」
「目玉焼き……奥が深いぜ」
いつか続くかも知れない…
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