文|log 自慢(政兼+幸村) 苛立ちを隠そうともせず政宗は城内を闊歩していた。 「どうしたのですか、政宗殿」 後ろから呼び止められて振り向くと、幸村が立っていた。 にこりと優しく笑う幸村。 その包容力のある笑みに、どこかで気持ちを吐き出したいのもあって、政宗は激情に任せて話し出した。 「兼続の奴にな、わしの秘蔵の大判を見せてやったのだ。そしたらな、奴はそれを扇子で受けおったのだ!斯様に不浄な物…などと言いおって、ゆるせぬ!」 ぐちぐちと政宗は語り続ける。 幸村はそれをじっと聞いていたが、途中からにこにこと微笑み始めた。思わずふふふっと声が漏れたのに、政宗が反応する。 「…でな。…どうした、幸村?」 「いえ…」 幸村は楽しそうに笑っている。 政宗の顔が訝しげになる。 「政宗殿は兼続殿にほめてほしかったのですね」 「んなっ!!」 幸村の言葉に、兼続は驚いた。一瞬おいて頬が朱に染まる。 「そそそんなことはないっ!」 どうやら本人は自分の気持ちに気づいていなかったようで、わたわたと慌てている。それを見て微笑ましい気持ちになった幸村は、政宗に言った。 「兼続殿に見せるなら、もっと質素な物がいいと思いますよ。」 ××× 兼続と政宗の件のエピソードがうろ覚えだったので没。 兼続は派手なものや実用的でないものは受け取ってくれなさそう。 |