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錯覚(ダテ→サナ)

「愛してる、幸村」
 腕の中に捕らえた幸村が、もがいている。
 鎖のように腕をもっと強く回す。
 違う、なんて否定の言葉が零れ出ないように、強く。
「お前だってそうだろ、幸村?」
 耳元に唇を寄せ、囁く。
「お前を愛してる」
 さあ、酔ったように、頷いてくれ。
 お前が言うまで放す気はないぜ。
 真実じゃなくていいから、今だけでいいから、
「愛してる」って返してくれよ。




(ずっと言い続けてりゃ、それが愛だって思えるだろ?)





×××
 なんというか…わかりにくい話。
 ずっと愛を囁き続けることによって、錯覚でもいいから幸村が俺を愛してくれれば、と思っている伊達。
 



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