文|log エクストリーム・節分(CP無し) 「節分でござるな!」 嬉しそうに幸村が叫んだ。 「旦那、豆は年の数だけしか食べちゃだめだよ?」 その横を、割烹着を着た佐助が忙しなく通過していく。豆まきの豆を用意したり、恵方巻きを用意したりと、甲斐甲斐しく働いている。 「大丈夫だよな?真田も流石にそれは分かるだろ。」 「政宗殿、どういう意味でござるか」 「まーまー、二人とも楽しみなよ!折角の祭りなんだしさ!」 慶次が二人の仲裁に入る。元気な若者たち集まりの場は既に混沌とした騒ぎと化してきた。 「さて、節分といえば豆まきだよね。」 「鬼を呼んだかい?」 そんな台詞とともに登場したのは元親だ。 皆元親のほうを振り向いた。 「鬼役っていやあ俺だろ?」 「まあねー…こっちとしてはやってくれるだけ助かるけど」 妙に歯切れの悪い佐助の台詞だが、元親はそこまで気にしなかった。 笑いながら佐助の持ってきた鬼のお面を受け取る。 「にしても、自ら鬼役を買って出るなんてな。奇特な奴だ。」 「死ぬなよ?」 「は?」 妙に感動したような双竜の口ぶりに、元親が疑問を返す。 「…え?」 そのとき、ひゅっと何かが凄まじい勢いで元親の顔の横を通過した。 頬の端が切れて、たらりと血が垂れる。 それは、豆だった。 多分、豆だった。 たとえそれが部屋の柱にめり込んでいたとしても。 呆然とする元親に、後ろから声がかかった。 「ふん、外したか」 弾かれるようにして振り返れば、妙に上機嫌な元就が豆の入った升を持って立っていた。 再び腕が振るわれる。 「うおっと!」 元親は持ち前の反射神経でその豆を寸でのところでかわす。 その豆が音を立てて部屋の壁を貫通したのを見て、元親は本能的に危険を感じた。 豆が銃弾のようだ。 元親は持っていた鬼の面を放り出して、必死で避ける。 「おとなしくそこへ立っているがよい!貴様のその右目を打ち抜いてやろうぞ!」 「断るっ!洒落になんねえよ!」 双竜と佐助は既に退避して談笑している。 「部屋破壊するのはやめてよねー」 「んなこというなら助けろ!」 慌てて逃げ惑う元親の前に、人影が立ちふさがった。 「某も参加するでござる!」 「いいねえ、俺も混ぜてよ!」 「お前らああああ!!」 慶次と幸村である。 元来こういった行事が大好きな二人は、嬉々として豆を手に取った。 あ、俺死んだわ。 元親はそのときこう感じたそうな。 ××× BASARA面子で節分なんていったらこんなことになるだろうと。 元親…ごめん。 まあ、銃弾くらい元親なら何とかなりますよ!(根拠のない自信) |